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運送・物流 公開

過重労働解消キャンペーンが11月1日から
荷主・元請にはGメンの集中監視(10・11月)

文:働く車買取ナビ編集部

厚生労働省は2026年11月1日から30日まで「過重労働解消キャンペーン」を行い、長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施する。国土交通省も10月・11月を荷主及び元請事業者に対する「集中監視月間」と位置付け、「トラック・物流Gメン」が、長時間の荷待ちなどの違反原因行為の疑いが認められた荷主等に、働きかけ・要請・勧告を行うとしている。この記事では、2つの取り組みで誰が何を確かめられ、違反の疑いがあるとどうなるのかを、貨物自動車運送事業法の条文、国交省の是正指導指針、岩手労働局の監督指導結果、中部運輸局の事業停止処分の発表から整理する。

この記事のポイント

  1. 11月は2つの取り組みが重なる厚生労働省の「過重労働解消キャンペーン」は11月1日から30日まで行われ、国土交通省は10月・11月を荷主及び元請事業者に対する「集中監視月間」と位置付けて、トラック・物流Gメンが監視を強化している。
  2. 勧告を受けるとその旨が公表されるGメンは、長時間の荷待ちなどの違反原因行為の疑いが認められた荷主等に、働きかけ・要請・勧告を行う。働きかけと要請を受けた事実は国交省から公表されないが、勧告をしたときはその旨が公表される。
  3. 重点監督の対象と確かめる事項厚労省の重点監督は、過労死等に係る労災請求が行われた事業場や、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等と、相談等から離職率が極端に高いなどの問題があると考えられる事業場等が対象で、時間外・休日労働が36協定の範囲内かなどを確かめ、法違反が認められた場合は是正指導するとしている。

マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。

11月に重なる2つの取り組み(過重労働解消キャンペーンとGメンの集中監視月間)

厚生労働省は10月8日、11月が「過労死等防止啓発月間」であることを発表し、月間中に「過重労働解消キャンペーン」として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導やセミナーの開催、労働に関する相談を無料で受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行うとした。キャンペーンの特設ページによると、実施期間は2026年11月1日(日)から11月30日(月)までの1か月間である。

国土交通省は9月28日、10月・11月を荷主及び元請事業者(以下、荷主等)に対する「集中監視月間」と位置付け、全トラック事業者及び倉庫業者に対する実態調査や関係省庁からの情報等を活用して、「トラック・物流Gメン」が適正な取引を阻害するおそれのある行為を行う荷主等への監視を強化し、是正指導を実施すると発表した。発表は公正取引委員会・中小企業庁と同時に出され、今回は違法な「白トラ」への有償運送委託の防止に向けて、警察とも連携するとしている。

  1. 9.28国交省が月間を発表荷主等への集中監視月間(10月・11月)
  2. 11.1過重労働解消キャンペーンが始まる相談受付集中期間は11月7日まで(1日・3日を除く)
  3. 11.7過重労働解消相談ダイヤル9時〜17時
  4. 11.30キャンペーンの最終日集中監視月間も11月まで

出典: 国土交通省 報道発表(2026年9月28日)、厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です」(2026年10月8日)と「過重労働解消キャンペーン」の特設ページ

11月は、厚労省の過重労働解消キャンペーン(11月1日〜30日)と、国交省のトラック・物流Gメンによる荷主等への集中監視月間(10月・11月)が重なる月になる。キャンペーンは過労死等防止対策推進法に基づく啓発月間の一環で、事業場の時間外・休日労働や賃金不払残業を確かめる重点監督を含む。集中監視月間は、適正な取引を阻害するおそれのある行為を行う荷主等への監視をGメンが強化し、是正指導を実施する取り組みで、所管する省も違う。

Gメンが見る「違反原因行為」とは(長時間の荷待ちなど6種類)

貨物自動車運送事業法の附則第1条の2は、運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する原因となるおそれのある行為を「違反原因行為」と呼び、荷主がしている疑いがあると認める場合などの、国土交通大臣の対処を定めている。9月28日の発表は、違反原因行為の中身を次のように示した。

「違反原因行為とは、長時間の荷待ち、契約にない附帯業務、運賃・料金の不当な据置き、過積載運送の指示・容認、異常気象時の運送依頼、無理な運送依頼」国土交通省 報道発表(2026年9月28日)の注記※1

国交省が2025年10月1日から適用している「貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく荷主への是正指導指針」(以下、指針)は、それぞれの種別に当たる場合を次のように書いている。

長時間の
荷待ち
荷主の都合による1時間以上の荷待ち(荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等)が恒常的に発生している場合
例えば、一時的な悪天候による障害や突発的な設備の故障等による荷待ちは含まれない
契約に
ない
附帯業務
契約にない附帯業務であって、附帯業務の対価について合意がなされていない場合
附帯業務の例(品代金の取立て、荷掛金の立替え、貨物の荷造り、仕分、保管、検収及び検品、横持ち及び縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業など)は、取引の実態として、委託者・受託者がともにその作業が運送の一部をなすものとして認識しており、かつ対価を運賃に包含させることに両者間で異論がない場合を除き、原則として基本的な運送業務には含まれないため、これらの業務に関する契約が必要となる
運賃・
料金の
不当な
据置き
運賃・料金交渉を申し出たにもかかわらず正当な理由なく交渉に応じない場合や、根拠を示して交渉したにもかかわらず、運送事業者が求めた事項について必要な説明又は情報の提供を行わず、運賃・料金の水準を据置く又は一方的に決定する場合
交渉の結果、運送事業者が希望する水準で決定されなかったとしても、求めた事項について必要な説明又は情報の提供を荷主が行っている場合は、違反原因行為とは判断されない
入札の結果による運賃・料金の水準である場合は、原則として違反原因行為とは判断されない
過積載
運送の
指示・
容認
荷主が過積載運送(過積載のおそれを含む)となることを知りながら、積載の指示又は容認を行った場合
明確な積載の指示がなくても、明らかに過積載になることを荷主が知りながら容認した場合も違反原因行為と判断される
異常
気象時の
運送依頼
異常気象時において、運送事業者又はその運行管理者が輸送の中止を判断し、荷主へその判断に至った理由等を報告したにもかかわらず、荷主に運送を強要された場合
異常気象時は、通達(令和2年2月28日付国自貨第136号)による降雨時、暴風時、降雪時、視界不良(濃霧・風雪等)時、警報発表時をいう
異常気象時のみならず、異常気象時前後においても、輸送経路における輸送の安全を確保できないと判断し、荷主へその理由等を報告したにもかかわらず運送を強要された場合も、違反原因行為と判断される場合がある
無理な
運送依頼
荷主からの指示又は非協力により、運送事業者が法又はこの法に基づく命令を遵守して事業を遂行することを困難にさせる行為であって、他の違反原因行為に該当しないもの

出典: 国土交通省「貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく荷主への是正指導指針」(令和7年10月)Ⅱ-1(2)。表記は原文から一部整理

指針によると、長時間の荷待ちは、荷主の都合による1時間以上の荷待ち(荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等)が恒常的に発生している場合を指し、繁忙期又は時間帯による貨物の集中等で事前に一定の把握が可能なものも恒常的なものに含まれる。台風等による異常気象時、施設設備の故障、その他やむを得ない理由による長時間荷待ち等は、恒常的なものとは判断されない。

指針は荷待ち時間を、集荷場所等において荷主の都合により貨物の受渡しのために待機した時間であって、次のとおり算定される時間で判断するとしている。到着時刻等の指示がない場合は、トラックドライバーが集荷場所等に到着した時刻(到着後速やかに受付等を行う場合はその時刻)から荷役等の開始時刻までで、指示された到着時刻等よりも前に到着した場合は、指示された到着時刻等から荷役等の開始時刻までとなる。指示された到着時刻等に、又はそれより後に到着した場合は、その到着時刻(到着後速やかに受付等を行う場合はその時刻)から数える。

指針の注記によると、トラックドライバーが到着した後、速やかに受付等を行わずに業務上の指示等により休憩する時間など、業務から完全に離れることができる時間は「荷主の都合」に含まれない。トラックドライバーの到着の遅れに起因して荷役等の順番が後ろ倒しとなり生じた追加的な荷待ち時間と、天候や交通事情等の荷主の責任によらず生じた荷待ちも「荷主の都合」に含まれず、早期到着等、受付等の時間外における時間帯は到着時刻とみなさない。

無理な運送依頼の例として、指針は、国交省の告示(平成13年国土交通省告示第1365号)で定める拘束時間を超えなければ運送できない依頼を荷主が強要した場合、適法な運行速度では間に合わない到着時間の設定を荷主が強要した場合、契約にない荷卸し・荷積み業務を荷主が強要した場合などを挙げている。証拠資料の例は種別ごとに挙げられており、長時間の荷待ちでは集荷場所等の入退場記録、荷待ち・荷役時間が判別できるデジタコデータ、業務の記録(日報)、証拠画像など、運賃・料金の不当な据置きでは運送契約書、荷主との運賃交渉記録、根拠として示した計算書類(原価計算書)など、無理な運送依頼では業務の記録(日報)、運行管理者の判断記録、荷主との連絡記録や運送依頼状(配車依頼票)などとされている。

指針の荷主は、法第2条第8項と第64条に定める者で、運送事業者との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者のほか、運送事業者から貨物を受け取る者、運送事業者に貨物を引き渡す者(他人のために受け取る者・引き渡す者を含む)なども当たる。

働きかけ・要請・勧告と勧告の公表(貨物自動車運送事業法附則第1条の2)

Gメンの是正指導は、附則第1条の2の第2項から第4項に定める3つの段階で行われる。指針は、働きかけを第2項、要請を第3項、勧告を第4項に定める措置と位置付けている。条文では、いずれも国土交通大臣が「当分の間」行うことができる措置として書かれている。

働きかけ(第2項)

荷主が違反原因行為をしている疑いがある場合に、運送事業者が法又はこの法に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう荷主が配慮することの重要性について理解と協力を求め、違反原因行為の自主的な確認と改善を促す。

  • 働きかけ文書は、原則として荷主の営業所等宛てに郵送
  • 受けた事実を国交省から公表することはない(処理結果の通知を行う場合は、情報提供者に是正指導の内容を伝えることがある)
  • 改善報告等の必要はない

違反原因行為の事実が確認されたものではないと、荷主に文書で伝えるとされている。

要請(第3項)

荷主が違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認める場合に、その荷主に違反原因行為をしないよう要請する。

  • 証拠の提出、複数の情報提供者からの同様の情報などが理由になる
  • 概ね1か月程度の期限で、要請事実の確認と改善計画の作成を求める
  • 受けた事実を国交省から公表することはない(処理結果の通知を行う場合は、情報提供者に是正指導の内容を伝えることがある)

改善期間は概ね1年以内の範囲で設定され、改善計画の設定期間に応じ、概ね3か月程度毎に進捗が確認される。

勧告(第4項)

要請を受けた荷主がなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認める場合に、その荷主に違反原因行為をしないよう勧告する。

  • 要請を過去3年以内に受けた荷主で、要請を複数回受けたときなどのいずれかに該当し、なお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認められる荷主が対象
  • 勧告をしたときは、その旨を公表(第5項)
  • 改善状況は概ね1か月毎に報告

勧告文書は、本省が荷主の本社宛てに手交するとされている。

出典: e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」附則第1条の2(2026年10月31日に取得)、国土交通省「荷主への是正指導指針」Ⅱ-1(3)・Ⅱ-2・Ⅱ-3・Ⅱ-4。表記は原文から一部整理

2,578件働きかけ(荷主1,828件・元請632件・その他118件)国土交通省(令和8年9月30日現在)
197件要請(荷主108件・元請83件・その他6件)国土交通省(令和8年9月30日現在)
5件勧告(荷主3件・元請1件・その他1件)国土交通省(令和8年9月30日現在)
「国土交通大臣は、当分の間、前項の規定による要請を受けた荷主がなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該荷主に対し、違反原因行為をしないよう勧告することができる。」「国土交通大臣は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。」貨物自動車運送事業法 附則第1条の2 第4項(但し書きを除く)・第5項(e-Gov 法令 API で2026年10月31日に取得)

働きかけと要請を受けた事実は国交省から公表されないが、要請を受けた荷主になお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があるとして勧告されると、勧告を行った年月日、荷主の名称と位置(番地まで)、勧告の内容、違反原因行為の内容などが公表される。公表事項は、指針のⅡ-3(3)に並んでいる。働きかけと要請について指針は、処理結果の通知を行う場合は、情報提供者に対して是正指導の内容を伝えることがあるとしている。

第4項には「第六十五条第一項の規定により勧告することができる場合は、この限りでない。」という但し書きがある。同法第65条(荷主への勧告)は、運送事業者が第15条第1項から第4項まで(輸送の安全)の規定に違反したことにより第22条(輸送の安全確保の命令)の命令をする場合や、第33条第1号(この法律やこの法律に基づく命令などに違反したとき)に該当したことにより第33条(許可の取消し等)の処分をする場合に、その命令や処分に係る違反行為が荷主の指示に基づき行われたことが明らかであるときなど、違反行為が主として荷主の行為に起因すると認められ、かつ、運送事業者への命令や処分のみでは再発の防止が困難と認められるときに、荷主に対しても再発の防止を図るため適当な措置を執るべきことを勧告できると定めている。この勧告の前には荷主の事業を所管する大臣の意見を聴かなければならず(第2項)、勧告をしたときはその旨を公表するものとされている(第3項)。

国交省のGメンのページは、活動実績として勧告を受けた5者の名前と勧告内容を載せている(令和8年9月30日現在)。同じページの過去の発表の一覧には、2023年11・12月の集中監視月間の取組結果として同法に基づく初の勧告を実施したとする2024年1月26日の発表、集中監視月間の取組を踏まえて勧告を2件実施したとする2025年1月30日の発表、1件実施したとする2025年12月23日の発表が並ぶ。

白トラへの運送委託と取適法の禁止行為(警察・公正取引委員会と連携)

9月28日の発表によると、国交省は今回、違法な「白トラ」への有償運送委託の防止に向けて警察と連携し、各都道府県警察とともに、物流センター・卸売市場等で違法な白トラへの運送委託の防止に向けた周知・啓発を行う。トラック法に基づく違法な白トラへの運送委託に関与している疑いが認められた荷主等には、要請又は勧告を行うとしている。発表の「トラック法」は、違反原因行為と無許可経営等原因行為への要請・勧告を定める貨物自動車運送事業法を指すとみられる〈推論〉。

国交省のGメンのページは、「荷主が違法な白ナンバートラックに有償で運送を依頼」することを、無許可経営等原因行為の例に挙げている。貨物自動車運送事業法の附則第1条の2の2は、運送事業者(特定第二種貨物利用運送事業者を含む)以外の者による貨物自動車運送事業の経営の原因となるおそれのある行為を無許可経営等原因行為とする。国土交通大臣は当分の間、荷主等がしているおそれがあると認めるときは要請を、していることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは勧告をすることができる(第2項・第3項)。

違法な白ナンバートラックに有償で運送を依頼した荷主等は、附則第1条の2の2により、要請を受けたり、勧告を受けてその旨を公表されたりすることがある。条文の書き方を比べると、無許可経営等原因行為の要請は「おそれがあると認めるとき」に、違反原因行為の要請は「疑うに足りる相当な理由があると認めるとき」にできるとされている。

公正取引委員会・中小企業庁との連携は、取適法の施行後の更なる連携強化として、地方レベルで行われる。国交省のGメンのページは「令和8年1月1日から「下請法」は「取適法」へ」と案内し、指針は令和7年5月に公布された下請法改正法に触れている。取適法の正式な題名は、編集部が今回取得した資料には書かれていない。9月28日の発表は、取適法禁止行為(支払遅延、代金の減額、買いたたき、報復措置、協議に応じない一方的な価格決定等)の疑いが認められた荷主等に、助言又は指導を行うとしている。10月上旬には、地方運輸局・公正取引委員会地方事務所等・地方経済産業局等による「物流分野取引適正化地方ブロック連絡会議」を開き、荷主等の営業所や物流拠点等を対象とした合同荷主パトロールの出発式を行うとしていた。

Gメンへの情報提供(目安箱・運輸局)と情報提供者の保護

国交省のGメンのページは、荷主・元請事業者等による違反原因行為にお困りの場合や、荷主等の無許可経営等原因行為の情報がある場合は目安箱へ寄せるよう案内し、電話で情報を寄せる場合は最寄りの運輸局・運輸支局等へとしている。検索では「トラックgメン 通報」「トラックgメン 目安箱」などの語が使われている(Googleの検索候補・2026年10月31日に編集部が確認)。

指針は、何人であっても、荷主が違反原因行為を行っている事実があると認める場合は、国交省のホームページに設置している意見募集窓口か、地方運輸局及び運輸支局のGメンに情報を提供できるとしている。情報提供者が運送事業者かその従業員である場合は、Gメン調査員にも提供できる。そのうえで指針は、次の事項が可能な限り明らかにされ、違反原因行為を証明するような資料が添付されていることが望ましいとしている。

情報
提供者
氏名、住所、事業者名、連絡先(電話番号、電子メールアドレス)
荷主名称、法人番号、代表者名、本社所在地
具体的
事実
日時、場所(住所、営業所名等)、主な輸送品目、発荷主・着荷主の別、真荷主の名称(荷主が元請事業者である場合)、違反原因行為を受けている運送事業者の名称(他社の状況を含む)、種別と具体的内容、該当すると判断した理由、その他参考となる情報
資料入退場記録、デジタコデータ、業務の記録(日報)、運送契約書など、指針が種別ごとに挙げる証拠資料の例

出典: 国土交通省「荷主への是正指導指針」Ⅴ-2(1)・Ⅱ-1(2)。表記は原文から一部整理

本省のWebサイトの専用の投稿窓口から、氏名や連絡先などの必要な事項を書いて情報を寄せ、違反原因行為の具体的な事実を示していると確認され、処理結果の通知を希望した場合は、どのような是正指導を行ったか、あるいは行わなかったかが、原則として情報提供のあった日から3か月以内に通知される。指針のⅤ-2(3)がこの手順を定めている。

情報提供者の保護について、指針は、是正指導又は調査を行う場合に情報提供者の氏名等が荷主に推察されることがないよう十分留意するとし、是正指導を行うことにより推察されるおそれがある場合は、荷主パトロール等の実施に代えるなど、情報提供者の保護に配慮した指導又は活動を検討するとしている。また、情報提供者の同意を得た場合に限り、違反原因行為の具体的事実(日時及び行為の詳細)と情報提供者の名称等を荷主へ開示できる。情報提供者が違反原因行為を受けている運送事業者ではない場合は、原則としてその運送事業者の代表者の同意が得られた場合に開示できる。一方で、情報の是正指導への活用について情報提供者からの同意が得られていない場合や、是正指導を行うと情報を提供した運送事業者の名称等が荷主に容易に推察されることが想定される場合(運送事業者の同意がある場合を除く)は、是正指導を行わないことがあるとしている。

過重労働解消キャンペーンの重点監督(36協定・賃金不払残業)

厚労省のキャンペーンの特設ページは、過労死等の労災支給決定件数は近年増加傾向にあり、とりわけ増加している精神障害に関する事案の約2割で、時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えている状況が認められているとして、11月にキャンペーンを行うとしている。重点監督の対象と、重点的に確認する事項は次のとおりである。

対象
(i)
長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場や、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場等
対象
(ii)
労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなどの問題があると考えられる事業場等
確認
(i)
時間外・休日労働が36協定(時間外・休日労働に関する協定届)の範囲内であるか等を確認し、法違反が認められた場合は是正指導する
確認
(ii)
賃金不払残業が行われていないかを確認し、法違反が認められた場合は是正指導する
確認
(iii)
不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導する
確認
(iv)
長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、36協定(特別条項)で定めた健康福祉確保措置が確実に講じられるよう指導する

出典: 厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」の特設ページ(実施期間 2026年11月1日〜30日)の「(3)長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督を実施します」。表記は原文から一部整理

重点監督では、時間外・休日労働が36協定の範囲内か、賃金不払残業が行われていないかなどを確かめ、法違反が認められた場合は是正指導し、重大・悪質な法違反が認められた場合は送検し、公表するとされている。特設ページの注記によると、監督指導の結果、1年間に2回以上同一条項の違反について是正勧告を受けた場合等は、ハローワークにおいて一定期間求人を受理せず、職業紹介事業者や地方公共団体にも同様の取組への協力を求めている。

特設ページと10月8日の発表は、重点監督の対象を業種では示していない(編集部が2026年10月31日に確認した範囲)。一方、東京労働局長が10月20日付で各団体の長に宛てた要請書は、建設の事業、自動車運転の業務については長時間労働の背景として取引慣行上の課題が挙げられるとして、荷主となる場合には「長時間の恒常的な荷待ちを発生させない取組等を行っていただくこと」を求めている。具体的な取組例には、入庫時刻の予約など荷物の積み下ろしに関する予約受付システムの導入、パレット等の活用、十分な納品リードタイムの確保、運送を考慮した出荷時刻の設定などが挙げられている。この要請書は、東京都トラック協会が10月27日にホームページに載せた。

11月1日〜
7日
過重労働相談受付集中期間(1日と3日を除く)
都道府県労働局と労働基準監督署が、過重労働に係る相談と労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報を積極的に受け付ける
11月7日
(土)
過重労働解消相談ダイヤル(0120-794-713・9時〜17時)
労働基準監督官が相談に対応する
11月7日
(土)
労働条件相談ほっとライン(0120-811-610・9時〜21時)
相談員が相談に対応する

出典: 厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です」(2026年10月8日)・「過重労働解消キャンペーン」の特設ページ

岩手労働局の令和7年度の監督指導結果(運輸交通業の行)

岩手労働局は10月28日、令和7年4月から令和8年3月までに、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を公表した。対象は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等である。

336事業場令和7年度に監督指導を実施した事業場岩手労働局
119事業場違法な時間外労働を確認した事業場(35.4%)同上
46事業場時間外・休日労働が最も長い労働者で月80時間を超えた事業場(違法な時間外労働があった事業場のうち38.7%)同上
業種監督指導法令違反労働時間
合計336286119
商業827324
製造業544816
保健衛生業554515
接客娯楽業262312
建設業423821
運輸交通業201612
その他の事業262210

出典: 岩手労働局「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果を公表します」(2026年10月28日)の表1。単位は事業場。「法令違反」は労働基準関係法令違反があった事業場、「労働時間」は違法な時間外労働があった事業場(労働基準法第32・40条違反と第36条第6項違反。表の注3)。業種の行は主な業種だけで、合計とは一致しない(表の注1)

岩手労働局の表1 では、運輸交通業の20事業場のうち16事業場で労働基準関係法令の違反が、12事業場で違法な時間外労働(労働時間の違反)が見つかった。上の表に載せていない列では、表1 の運輸交通業の賃金不払残業は1事業場、過重労働による健康障害防止措置の未実施は3事業場だった(出典の表1)。監督指導の対象は長時間労働が疑われる事業場で、表の数は県内の事業場全体の違反の割合を示すものではない〈推論〉。表1 は、運輸交通業のうちトラック運送の事業場がいくつかという内訳を示していない(編集部が確認した範囲)。

発表は、厚生労働省が今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとも書いている。表の「労働時間」の違反は注3 で定義され、36協定なく時間外労働を行わせていること、36協定が無効なこと、36協定で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていること(労働基準法第32・40条違反)と、時間外労働の上限規制を超える時間外労働があったもの(同法第36条第6項違反)が対象になる。

自動車運転の業務の上限(年960時間)と改善基準告示

岩手労働局の資料は、時間外労働の上限規制のうち、自動車運転の業務の令和6年4月1日以降の扱いを次のように説明している。

年間の
上限
特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が960時間となる
適用
されない
規制
時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内とする規制は適用されない
時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されない

出典: 岩手労働局 監督指導結果の資料(2026年10月28日)の「時間外労働の上限規制」「令和6年度適用開始業務等」。表記は原文から一部整理

自動車運転の業務は、令和6年4月1日から、特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が960時間となり、時間外労働と休日労働の合計についての月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の規制は適用されない。一般の労働者の時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間(限度時間)で、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)とされ、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6か月が限度とされている。

時間外労働の上限とは別に、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、トラックなどの自動車運転者について、拘束時間、休息期間、運転時間等の基準を定めたものである。厚生労働省労働基準局監督課の資料「自動車運転者に係る改善基準告示の見直しについて」は、令和4年12月23日に改善基準告示を改正し、令和6年4月1日から適用するとして、トラック運転者の主な基準を次のように示している。

1年・
1か月の
拘束時間
1年3,300時間以内、1か月284時間以内
労使協定により、1年3,400時間以内、1か月310時間以内(年6か月まで)に延長でき、その場合は、284時間超は連続3か月までとすることと、1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努めることの両方を満たす必要がある
1日の
拘束時間
原則13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安)
宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は、継続16時間まで延長できる(週2回まで)
1日の
休息期間
継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は、継続8時間以上とすることができる(週2回まで)
休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与える
宿泊を
伴う
長距離
貨物運送
1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合
運転時間2日平均1日当たり9時間以内、2週平均1週当たり44時間以内
連続
運転時間
4時間以内で、運転の中断時には、原則として休憩を与える(1回おおむね連続10分以上、合計30分以上)
SA・PA等に駐停車できず、やむを得ず4時間を超える場合は、4時間30分まで延長できる
予期し
得ない
事象
運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと、乗船予定のフェリーが予期せず欠航したこと、災害や事故の発生に伴い道路が封鎖されたこと又は渋滞したこと、異常気象(警報発表時)に遭遇し正常な運行が困難となったことへの対応時間を、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)及び連続運転時間から除くことができる
運転日報上の記録に加え、客観的な記録(公的機関のHP情報等)が必要で、勤務終了後は通常どおりの休息期間(継続11時間以上を基本、9時間を下回らない)を与える

出典: 厚生労働省 労働基準局監督課「自動車運転者に係る改善基準告示の見直しについて」(国土交通省のサイトに載った研究会の資料5。PDF の作成日は2023年2月16日)の「改正後(令和6年4月1日~)」の欄と、厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」の「トラック運転者の改善基準告示」(2026年10月25日に取得)。この表には、資料の5ページにある分割休息・2人乗務・隔日勤務・フェリーの各特例は載せていない。表記は原文から一部整理

同じ資料は、労働基準監督署が荷主・元請運送事業者に対して、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないよう努めることと、運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知することを要請する取り組みを「新規」として紹介し、対象企業の選定に厚生労働省のホームページの「長時間の荷待ちに関する情報メール窓口」などで集めた情報を使い、国土交通省にも情報を提供するとしている。資料は2023年2月の作成で、この取り組みのいまの運用は、過去の調査の資料にも記載が無く、編集部では確認できていない(2026年10月31日時点)。

厚生労働省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」は、編集部が2026年10月25日に取得した時点で、改善基準告示は令和4年12月に見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改正された(令和6年4月1日施行)と書き、見直し後の改善基準告示は令和6年4月から適用されていると案内していた。ポータルが載せる値(1年3,300時間、1か月284時間、1日13時間・最大15時間、休息期間11時間・9時間など)は、上の表の値と同じである。

中部運輸局の事業停止30日(輸送安全規則第3条第4項)

運送事業者の側の基準の違反が行政処分につながった例として、中部運輸局は10月28日14時、岐阜県のトラック事業者1社に、事業停止処分30日間・文書警告・安全確保命令を行ったと発表した。監査は、法令違反の疑い等の状況を勘案し、監査を行うことが必要と認められたため実施したとしている。

処分日2026年10月28日
営業所本社営業所
処分の
内容
事業停止処分30日間、文書警告、安全確保命令
停止の
始まり
発表に書かれていない(2026年10月28日の発表)
主な違反事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準(平成13年国土交通省告示第1365号)が、著しく遵守されていなかった(貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項)
ほかの
違反
届出を行わず、営業所別配置車両数を変更していた(貨物自動車運送事業法施行規則第6条第1項第1号)
点呼の記録の記載事項等が不適切であった(輸送安全規則第7条第5項)
運転者等台帳の記載事項等が不適切であった(同第9条の5第1項)
特定の運転者(初任運転者)に対する運転適性診断(初任診断)を実施していなかった(同第10条第2項)
違反点数当該行政処分により付された違反点数は30点、当該事業者に付された累積違反点数は30点

出典: 中部運輸局「トラック事業者を事業停止処分」(2026年10月28日 14時00分発表・PDF)。事業者の名称と所在地は発表資料に載っている。表記は原文から一部整理

「貨物自動車運送事業者は、休憩又は睡眠のための時間及び勤務が終了した後の休息のための時間が十分に確保されるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを遵守させなければならない。」貨物自動車運送事業輸送安全規則 第3条第4項(e-Gov 法令 API で2026年10月31日に取得)

輸送安全規則第3条第4項は、運送事業者に、国土交通大臣が告示で定める基準に従って運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、運転者に遵守させることを求めており、中部運輸局はこの基準が著しく遵守されていなかったことを主な違反とした。発表は、違反が荷主の指示によるものかどうかに触れておらず、荷主への勧告の記載もない(2026年10月28日の発表)。国交省の告示第1365号の基準の数値と、前の節で示した改善基準告示の数値との関係は、今回取得した資料と同じフォルダの過去の調査の資料には書かれていないため、編集部では条文で確かめていない(2026年10月31日に編集部が確認した範囲)。

立場ごとに確かめること(運送事業者・荷主・元請・ドライバー)

2つの取り組みと処分の例を、読者の立場ごとにまとめる。条文と資料に書かれていることを並べ、編集部の当てはめには〈推論〉を付けた。

運送
事業者の
経営者
時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか等、賃金不払残業が行われていないか、長時間労働者に医師による面接指導等、36協定(特別条項)で定めた健康福祉確保措置が講じられているかは、重点監督で確かめられる事項に当たる
荷主等から違反原因行為を受けている場合は、目安箱や運輸局・運輸支局等に情報を寄せることができる
運行
管理者
中部運輸局の処分では、勤務時間・乗務時間の基準のほか、点呼の記録と運転者等台帳の記載事項等、初任診断の未実施も違反とされた
荷待ち・荷役の時間をデジタコのデータや業務の記録(日報)で残しておくと、指針が挙げる証拠資料の例に当たる〈推論〉
荷主
(発荷主・
着荷主)
荷主の都合による1時間以上の荷待ち(荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等)が恒常的に発生していないか、契約にない附帯業務を対価の合意なく行わせていないか、運賃・料金の交渉の申出に応じているかなどが、指針の6つの種別の違反原因行為の判断に関わる
是正指導が法に規定する要件に適合しないと考えるときは、是正指導の中止その他必要な措置を求める申出ができるが、荷主に対するヒアリングを経て、是正指導の内容及びその理由を明らかにした上で、意見を陳述する機会を付与されてなされた是正指導は除かれる
元請の
運送
事業者
集中監視月間で監視される「荷主等」は、荷主及び元請事業者を指す
取適法禁止行為(支払遅延、代金の減額、買いたたき、報復措置、協議に応じない一方的な価格決定等)の疑いが認められた場合は、助言又は指導を行うとされている
ドライバー11月1日から7日まで(1日と3日を除く)は過重労働相談受付集中期間で、11月7日(土)は過重労働解消相談ダイヤル(0120-794-713)が開く
荷主が違反原因行為を行っている事実があると認める場合は、何人であっても国交省の意見募集窓口やGメンに情報を提供できる

出典: 上の各節の資料(厚生労働省・国土交通省・中部運輸局)。〈推論〉は編集部の当てはめ

荷主・元請事業者は、指針の基準(荷主の都合による1時間以上の荷待ち〔荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等〕が恒常的に発生している場合など)に当たる受け入れが無いかを入退場記録などで確かめておくと、Gメンから働きかけや要請を受けたときに事実を確認しやすい〈推論〉。働きかけと要請は違反原因行為の事実が確認されたものではないと、指針は荷主に文書で伝えるとしている。

編集部の見方

2つの取り組みと処分の発表から考える

01

Gメンの指針と東京労働局長の要請書に共通する荷待ち

国交省の指針は違反原因行為の最初の種別に長時間の荷待ちを置き、東京労働局長の要請書も、荷主となる場合に長時間の恒常的な荷待ちを発生させない取組等を求めている。厚労省の過重労働解消キャンペーンの発表と特設ページには、荷待ちの語は出てこない(編集部が2026年10月31日に確認した範囲)。

編集部の見立てでは、長時間の荷待ちは、Gメンの指針では荷主の違反原因行為として、東京労働局長の要請書では荷主に求める取組として扱われており、11月は荷主の側の荷待ちが2つの文書から求められる時期になる〈推論〉。情報の共有について、9月28日の発表は集中監視に関係省庁からの情報等を活用するとし、指針は荷主に是正指導を行った場合に国交省の関係部局及び関係行政機関に情報を共有するとしている。指針はまた、Gメンが把握した違反原因行為の情報を必要に応じて関係部局又は関係行政機関に共有し、下請代金支払遅延等防止法に関する情報を含むと判断した場合は、情報提供者からあらかじめ申出がない限り、公正取引委員会及び中小企業庁に共有することがあるとしている。2023年2月の厚労省の資料は、労働基準監督署が荷主への要請の対象選定に使った情報を国交省にも提供するとしていた。一方、11月の重点監督と集中監視月間の間で情報をどう共有するかは、今回の発表には書かれていない(2026年10月31日に編集部が確認した範囲)。

02

是正指導の多くは公表されない働きかけ

Gメンの活動実績は、令和8年9月30日現在で働きかけ2,578件、要請197件、勧告5件である。働きかけと要請を受けた事実は国交省から公表しないと指針に書かれており、公表の定めがあるのは勧告の段階である。

編集部の見立てでは、件数の上では是正指導の大半が働きかけで、社名が公表される勧告に至った件数は、令和8年9月30日現在で働きかけの件数の1%に満たない〈推論〉。国交省のページの過去の発表の一覧には、集中監視月間の取組結果や、取組を踏まえた勧告の発表が2024年1月・2025年1月・2025年12月に並んでおり、今回の月間の後にも結果の発表がある可能性がある〈推論〉。

03

記録が判断の材料になる

指針は、入退場記録、デジタコデータ、業務の記録(日報)、運送契約書、運賃交渉記録などを違反原因行為の証拠資料の例に挙げている。厚労省の重点監督は、不適切な労働時間管理について労働時間を適正に把握するよう指導するとしており、岩手労働局の結果では、監督指導を実施した336事業場のうち39事業場が、労働時間の把握が不適正なため指導を受けた。

編集部の見立てでは、荷待ち・荷役の時間と運転者の労働時間の記録は、運送事業者が荷主等に改善を求めるときの材料にも、監督指導で確かめられる事項にもなる〈推論〉。どの記録をどれだけの期間残すべきかは、今回取得した資料には書かれていない(2026年10月31日に編集部が確認した範囲)。

出典: 国土交通省「荷主への是正指導指針」・「「トラック・物流Gメン」について」、厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」の特設ページ、岩手労働局の監督指導結果(2026年10月28日)、東京労働局長の要請書(令和8年10月20日)。〈推論〉と「編集部の見立て」は編集部の考察で、国・労働局の発表ではない

まとめ

  • 厚生労働省は2026年11月1日から30日まで「過重労働解消キャンペーン」を行い、長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督、11月1日から7日までの過重労働相談受付集中期間(1日・3日を除く)、11月7日の過重労働解消相談ダイヤルなどを実施する。
  • 国土交通省は10月・11月を荷主及び元請事業者に対する「集中監視月間」と位置付け、貨物自動車運送事業法の違反原因行為の疑いが認められた荷主等に働きかけ・要請・勧告を、取適法禁止行為の疑いには助言・指導を、違法な白トラへの運送委託に関与している疑いには要請・勧告を行うとしている。
  • 貨物自動車運送事業法附則第1条の2は、要請を受けた荷主がなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があるときの勧告と、勧告をした旨の公表を定めている。Gメンの活動実績は、令和8年9月30日現在で勧告5件・要請197件・働きかけ2,578件である。
  • 岩手労働局が公表した令和7年度の監督指導結果では、長時間労働が疑われる336事業場のうち119事業場で違法な時間外労働が確認され、表1 の運輸交通業の行では20事業場のうち12事業場で労働時間の違反が見つかった。
  • 中部運輸局は10月28日、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準(平成13年国土交通省告示第1365号)が著しく遵守されていなかったことなどを理由に、岐阜県のトラック事業者に事業停止処分30日間・文書警告・安全確保命令を行ったと発表した。

よくある質問

過重労働解消キャンペーンはいつから?何をする?

2026年は11月1日(日)から11月30日(月)までの1か月間です。厚生労働省の特設ページによると、使用者団体・労働組合への協力要請、長時間労働が行われていると考えられる事業場等に対する重点監督、11月1日から7日までの過重労働相談受付集中期間(1日と3日を除く)、11月7日の過重労働解消相談ダイヤルなどを行います。11月は過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止啓発月間」で、キャンペーンはその一環として行われます。

トラック・物流Gメンとは?トラックGメンとの違いは?

国土交通省で、荷主・元請事業者等への是正指導を行う体制です。是正指導指針によると、2023年(令和5年)7月に「トラックGメン」が創設され、2024年(令和6年)11月に「トラック・物流Gメン」に改組されて、倉庫業者からの情報収集を行うとともに、各都道府県のトラック協会が新たに設けた「Gメン調査員」とともに総勢360名の規模に体制が拡充されました。国交省のページによると、2025年(令和7年)9月からはGメンアシスタント事務局も置かれています。

Gメンの勧告を受けると社名は公表される?

勧告をしたときはその旨を公表すると、貨物自動車運送事業法附則第1条の2第5項に定められています。是正指導指針によると、公表事項は勧告を行った年月日、荷主の氏名又は名称及び位置(番地まで)、勧告の内容、違反原因行為の内容などで、国交省のページには勧告を受けた5者の名前と勧告内容が載っています(令和8年9月30日現在)。一方、働きかけと要請を受けた事実については国土交通省から公表することはないが、処理結果の通知を行う場合は、情報提供者に対して是正指導の内容を伝えることがあると指針に書かれています。

長時間の荷待ちは何時間から違反原因行為になる?

是正指導指針は、荷主の都合による1時間以上の荷待ち(荷待ちのみで把握していない場合は2時間以上の荷待ち・荷役等)が恒常的に発生している場合を、違反原因行為の「長時間の荷待ち」としています。荷待ち時間は、集荷場所等で荷主の都合により貨物の受渡しのために待機した時間で、到着時刻等の指示がない場合はトラックドライバーが集荷場所等に到着した時刻(到着後速やかに受付等を行う場合はその時刻)から荷役等の開始時刻までで判断され、指示された到着時刻等よりも前に到着した場合は指示された到着時刻等から数え、早期到着等、受付等の時間外における時間帯は到着時刻とみなされません。業務上の指示等により休憩する時間など業務から完全に離れることができる時間、トラックドライバーの到着の遅れに起因して生じた追加的な荷待ち時間、天候や交通事情等の荷主の責任によらず生じた荷待ちは「荷主の都合」に含まれず、台風等による異常気象時、施設設備の故障、その他やむを得ない理由による長時間荷待ち等は恒常的なものとは判断されません。ただし、繁忙期又は時間帯による貨物の集中等であって事前に一定の把握が可能なものは含まれます。

トラックGメンへの通報(情報提供)はどこに?匿名でもできる?

国交省のページは、違反原因行為にお困りの場合などは目安箱へ、電話の場合は最寄りの運輸局・運輸支局等へ情報を寄せるよう案内しています。匿名で受け付けるかどうかは、編集部が確認した指針の範囲には書かれていません。指針は、情報提供者の氏名・住所・事業者名・連絡先などが可能な限り明らかにされている情報であることが望ましいとし、情報の是正指導への活用について情報提供者からの同意が得られていない場合などは是正指導を行わないことがあるとしています。そのうえで、是正指導の際に情報提供者の氏名等が荷主に推察されることがないよう十分留意し、推察されるおそれがある場合は荷主パトロール等の実施に代えるなど、情報提供者の保護に配慮した指導又は活動を検討するとしています。

運転者の勤務時間の基準を守らないと行政処分になる?

中部運輸局は2026年10月28日、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準(平成13年国土交通省告示第1365号)が著しく遵守されていなかったことを主な違反として、岐阜県のトラック事業者に事業停止処分30日間・文書警告・安全確保命令を行ったと発表しました。違反条項は貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第4項とされ、違反点数30点が付されています。どの程度の違反で何日の停止になるかという処分の基準は、編集部が今回取得した資料には書かれていません。

ドライバーが長時間労働を相談できる窓口は?

11月1日から7日まで(1日と3日を除く)は過重労働相談受付集中期間で、都道府県労働局と労働基準監督署が、過重労働に係る相談と労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報を積極的に受け付けます。11月7日(土)は、過重労働解消相談ダイヤル(0120-794-713・9時〜17時)で労働基準監督官が相談に対応し、労働条件相談ほっとライン(0120-811-610・9時〜21時)も特別労働相談を行います。荷主の長時間の荷待ちなどの情報は、国交省のGメンの目安箱や運輸局・運輸支局等にも寄せることができます。

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編集部

働く車買取ナビ編集部

トラック・重機・商用車の買取相場と、持ち主に関わる制度・業界の出来事を伝えています。運営: 奥義合同会社(運営者情報)

事実は、国の発表・法令・メーカーの公式発表の原文に当たって書いています。

関連するニュース

出典と参考資料

  1. 国土交通省 報道発表「荷主等に対する集中監視月間を設け、「トラック・物流Gメン」が重点的に監視を強化します」(2026年9月28日) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000367.html
  2. 国土交通省 報道発表資料(2026年9月28日・PDF) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002024542.pdf
  3. 国土交通省「「トラック・物流Gメン」について」(活動実績は令和8年9月30日現在) https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000116.html
  4. 国土交通省「貨物自動車運送事業法附則第1条の2に基づく荷主への是正指導指針」(令和7年10月・PDF) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001913224.pdf
  5. e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」(附則第1条の2・第1条の2の2、第64条・第65条) https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083
  6. e-Gov 法令 API「貨物自動車運送事業輸送安全規則」(平成2年運輸省令第22号)第3条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=平成二年運輸省令第二十二号;article=3
  7. 中部運輸局「トラック事業者を事業停止処分」(2026年10月28日・PDF) https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/press/pdf/jikou2026102801.pdf
  8. 厚生労働省「11月は「過労死等防止啓発月間」です」(2026年10月8日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76625.html
  9. 厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」(特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign_00004.html
  10. 岩手労働局「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督結果を公表します」(2026年10月28日) https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/news_topics/houdou/kantoku_houdousiryou_081021_00001.html
  11. 岩手労働局「長時間労働が疑われる事業場に対する令和7年度の監督指導結果を公表します」(PDF) https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/002869428.pdf
  12. 東京労働局長「長時間労働削減を始めとする働き方の見直しに向けた取組に関する要請書」(令和8年10月20日。東京都トラック協会が2026年10月27日に掲載) https://www.totokyo.or.jp/archives/52543
  13. 厚生労働省 労働基準局監督課「自動車運転者に係る改善基準告示の見直しについて」(国土交通省のサイトに載った研究会の資料5・PDF) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001596231.pdf
  14. 厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」の「トラック運転者の改善基準告示」(2026年10月25日に取得) https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)

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