運送・物流 公開
事業用トラックの交通事故、令和7年は死亡事故188件
件数の推移と原因・年齢・時間帯
全日本トラック協会は、「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」(令和7年データ)を発刊した。警察庁が公表した令和7年中の全国交通事故統計データから、軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった交通事故を集計したもので、2025年の死傷事故は8,235件、死亡事故は188件、死者は191人だった。この記事では、大型・中型・準中型・普通の区分ごとの推移と前年との差、事故類型と法令違反、運転者の年齢、時間帯、飲酒運転と整備不良、都道府県別の件数、事業用自動車総合安全プラン2030 の目標との差を整理する。
この記事のポイント
- 死傷事故は8,235件軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった死傷事故の件数で、前年の8,619件から384件減った(編集部の計算)。10年前の2016年の14,600件からは、6,365件(43.6%)減っている。
- 死亡事故は188件軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった死亡事故の件数で、うち大型の事故は122件(64.9%・編集部の計算)、死者は191人だった。
- 2〜3時台の死亡事故率10.7%軽自動車を除く事業用トラックの死傷事故に占める死亡事故の割合は、2〜3時台が10.7%、0〜1時台が9.2%で、全体では2.3%だった。
マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。
全ト協が公表した令和7年の事業用トラックの事故統計
全日本トラック協会は、「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」(令和7年データ)を発刊した。資料の表紙の日付は令和8年9月で、全ト協のニュースの一覧には2026年10月22日に発刊の知らせが載った。まえがきによると、資料は、交通事故総合分析センターと国土交通省の協力を得て、警察庁が公表した令和7年中の全国交通事故統計データから、事業用貨物自動車(軽自動車を除く)が第1当事者となる交通事故の全体傾向を集計したものである。
軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年(令和7年)の死傷事故は8,235件(前年は8,619件)、死亡事故は188件(前年は200件)だった。死傷者は、死者191人、重傷者847人、軽傷者9,458人の計10,496人だった。同じ年に全国で発生した交通事故(物損事故を除く)は、全車両で287,023件、死者は2,547人だった。
「データの各数値は、令和8年5月末の確定値である。後日、統計上の理由により変更される場合がある。」全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」凡例
まえがきは、全日本トラック協会が、国土交通省の「事業用自動車総合安全プラン2030」を受けて、軽自動車を除いた「トラック事業における総合安全プラン2030」を策定したことにも触れている。目標との差は、この記事の後半で整理する。
「事業用トラック」の数え方(軽自動車を除く・第1当事者)
資料の数字を読むには、凡例の定義を押さえておく必要がある。主なものは次のとおりである。
- 交通事故は人身事故と物損事故を指すが、この資料では物損事故を除く
- 死亡(死者)は、交通事故によって、発生から24時間以内に亡くなった場合(人)を指す。重傷は交通事故によって負傷し1箇月(30日)以上、軽傷は1箇月(30日)未満の治療を要する場合(人)を指す
- 事業用貨物自動車は、第1当事者が事業用で貨物車(軽自動車を除く)の事故を指す
- 第1当事者は、最初に交通事故に関与した車両等の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者(過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者)
この資料の「事業用トラック」の事故は、軽自動車を除く事業用の貨物車が、過失の重い第1当事者になった人身事故で、物損事故と軽貨物の事故は数に入っていない。軽貨物の事故を含めて数えた集計とは対象が違うため、件数をそのまま比べることはできない〈推論〉。第1当事者の区分は、平成29年3月12日以降、次のように定められている。
| 区分 | 車両総重量 | 最大積載量 |
|---|---|---|
| 大型 | 11t以上 | 又は6.5t以上 |
| 中型 | 7.5t以上11t未満 | 又は4.5t以上 |
| 準中型 | 3.5t以上 | 又は2t以上 |
| 普通 | 3.5t未満 | かつ2t未満 |
出典: 全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」凡例 19(平成29年3月12日以降の当事者種別の定義)
大型・中型・準中型・普通の死傷事故件数の推移
表1 によると、死傷事故の件数は、2016年(平成28年)の14,600件から2025年は8,235件になり、資料は「10 年間で 6,365 件(43.6%)減少しています。」と書いている。
事業用トラックの死傷事故件数(2016〜2025年)
出典: 全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」表1 の合計の値をもとに編集部が作成。軽自動車を除く事業用貨物自動車が第1当事者の死傷事故。棒の長さは2016年の14,600件に対する割合
区分ごとの件数は次の表のとおりである。平成29年3月12日に準中型の区分ができたため、資料は「「大型」以外は参考値となります」としており、2016年の準中型の欄は空いている。
区分ごとの死傷事故件数(2016〜2025年・表)
| 年 | 大型 | 中型 | 準中型 | 普通 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2016年 | 5,709 | 6,572 | — | 2,319 | 14,600 |
| 2017年 | 5,663 | 4,862 | 2,452 | 1,240 | 14,217 |
| 2018年 | 5,406 | 4,031 | 3,171 | 820 | 13,428 |
| 2019年 | 4,753 | 3,413 | 2,764 | 699 | 11,629 |
| 2020年 | 3,970 | 2,671 | 2,261 | 547 | 9,449 |
| 2021年 | 4,103 | 2,586 | 2,170 | 556 | 9,415 |
| 2022年 | 4,164 | 2,508 | 2,186 | 513 | 9,371 |
| 2023年 | 4,051 | 2,489 | 2,152 | 489 | 9,181 |
| 2024年 | 3,757 | 2,321 | 2,055 | 486 | 8,619 |
| 2025年 | 3,754 | 2,178 | 1,860 | 443 | 8,235 |
出典: 全日本トラック協会 表1(件)。「—」は区分の無かった年。大型にはトレーラを含む(2025年はトレーラ673件)
前年(2024年)と比べると、次のようになる。
| 区分 | 2024年 | 2025年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 大型 | 3,757 | 3,754 | −3 (−0.1%) |
| 中型 | 2,321 | 2,178 | −143 (−6.2%) |
| 準中型 | 2,055 | 1,860 | −195 (−9.5%) |
| 普通 | 486 | 443 | −43 (−8.8%) |
| 合計 | 8,619 | 8,235 | −384 (−4.5%) |
出典: 全日本トラック協会 表1。差と増減率は、2025年の値から2024年の値を引いた編集部の計算(増減率は2024年の値に対する割合)
事業用トラック(軽自動車を除く)の死傷事故の前年からの減り方は区分で違い、準中型は2,055件から1,860件へ195件減ったが、大型は3,757件から3,754件へ3件の減少だった。大型の件数には、トレーラが含まれる(2025年は673件)。表1 の保有車両数は1,488,660台で、自動車検査登録情報協会の「市区町村別 自動車保有車両数(令和7年3月末現在)」をもとに全日本トラック協会が集計した値とされている。
死亡事故188件の内訳(大型122件・死亡事故率)
2025年の死亡事故188件を第1当事者の区分で分けると、大型が122件、中型が41件、準中型が21件、普通が4件だった。道路の区分では、高速道が33件、一般道が155件である。
区分ごとの死亡事故件数(2025年・188件)
出典: 全日本トラック協会 表5-3 の合計の列の値をもとに編集部が作成。棒の長さは大型の122件に対する割合
| 区分 | 死傷事故 | 死亡事故 | 死亡事故率 |
|---|---|---|---|
| 大型 | 3,754 | 122 | 3.2% |
| 中型 | 2,178 | 41 | 1.9% |
| 準中型 | 1,860 | 21 | 1.1% |
| 普通 | 443 | 4 | 0.9% |
| 合計 | 8,235 | 188 | 2.3% |
出典: 全日本トラック協会 表1・表5-3・表5-1(件)。死亡事故率は、資料の定義(死亡事故件数/死傷事故件数×100)で、合計の2.3%は表5-1 の値、区分ごとの率は同じ定義で編集部が計算した値
事業用トラック(軽自動車を除く)の死亡事故188件のうち122件(64.9%)は大型が第1当事者で、死傷事故に占める死亡事故の割合(死亡事故率)は、全体の2.3%に対し大型は3.2%だった(大型の率と構成比は編集部の計算)。表3-3 の死亡事故件数は、2024年の200件から2025年は188件になった。死者数について、表17-4 は「令和 7 年は 191 人と 200 人を下回っています」と書いている。
死者191人を第2当事者(相手)の別に見ると、対歩行者が72人、対自転車が33人、二輪車が27人、貨物車が19人、乗用車が16人、物件が16人、その他が8人だった(表17-4)。なお、付録25 の車籍別の表は、2025年の死者数の合計を188としており、表17-1・表17-4・付録27 の191人と食い違う。どちらが正しいかは資料からは確かめられないため、この記事では191人を使う。
事故の原因(事故類型の上位10と法令違反の件数)
資料は、死傷事故を事故類型(事故の当事者と、事故時の動きなどによる分類)の詳細区分で、件数の多い順に並べている。
| 順位 | 事故類型 | 死傷事故 |
|---|---|---|
| 1 | 追突-駐・停車中 | 3,159件 38.4% |
| 2 | 出会い頭衝突 | 778件 9.4% |
| 3 | 左折時衝突 | 626件 7.6% |
| 4 | 進路変更時衝突 | 578件 7.0% |
| 5 | 追越・追抜時衝突 | 541件 6.6% |
| 6 | 追突-進行中 | 492件 6.0% |
| 7 | 車両相互(その他) | 469件 5.7% |
| 8 | 右折時衝突 | 439件 5.3% |
| 9 | 後退時衝突 | 340件 4.1% |
| 10 | 横断中 | 333件 4.0% |
出典: 全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」本文4頁の、事故類型詳細区分別の発生件数の多い順(2025年・死傷事故8,235件に対する構成率)
事業用トラック(軽自動車を除く)の死傷事故の44.3%(3,651件)は追突で、「追突-駐・停車中」の3,159件が最も多かった。資料は、追突の合計について「駐・停車中と進行中を合わせて 3,651(44.3%)と、死傷事故全体(8,235 件)の半数弱を占めています。」と書いている。追突の死傷事故は、2016年の7,637件から10年間で3,986件(52.2%)減った。
法令違反別の件数は、「事故の結果に最も影響を与えている違反であって、無免許運転、無資格運転及び酒気帯び運転以外の違反」で数えている。表9-1 から、死傷事故の件数の多い違反と、死亡事故の件数の多い違反を抜き出すと、次のようになる。
| 法令違反 | 死傷事故 | 死亡事故 |
|---|---|---|
| 安全不確認 | 2,447件 29.7% | 23件 12.2% |
| 脇見運転 | 1,309件 15.9% | 37件 19.7% |
| 動静不注視 | 1,070件 13.0% | 6件 3.2% |
| 漫然運転 | 946件 11.5% | 25件 13.3% |
| 運転操作不適 | 524件 6.4% | 7件 3.7% |
| 交差点 | 405件 4.9% | 17件 9.0% |
| 信号無視 | 311件 3.8% | 7件 3.7% |
| 歩行者妨害等 | 187件 2.3% | 27件 14.4% |
出典: 全日本トラック協会 表9-1(2025年)。下段は構成率。死傷事故の件数の多い順に7つ(区分「その他の違反」を除く)と、死亡事故で2番目に多い歩行者妨害等を載せた。表9-1 のほかの20行(その他の違反274件、一時不停止113件など)は載せていない
死傷事故では、安全不確認が2,447件(29.7%)、脇見運転が1,309件(15.9%)、動静不注視が1,070件(13.0%)の順に多い。死亡事故では、表9-1 の数字で脇見運転が37件(19.7%)と最も多く、歩行者妨害等27件(14.4%)、漫然運転25件(13.3%)、安全不確認23件(12.2%)が続く。資料の本文は、死亡事故の違反として、脇見運転・漫然運転・安全不確認の3つを挙げている。
運転者の年齢別の死傷事故
表4-1・表4-3 は、死傷事故を、第1当事者の運転者の年齢層ごとに数えている。
運転者の年齢別の死傷事故件数(2025年)
出典: 全日本トラック協会 表4-1 の合計の行の値をもとに編集部が作成。青い棒は50歳以上。棒の長さは最も多い55〜59歳の1,498件に対する割合。年齢不明は0件
事業用トラック(軽自動車を除く)で死傷事故を起こした運転者の年齢は55〜59歳が1,498件(18.2%)で最も多く、50歳以上の合計は5,029件(61.1%)だった。50〜54歳は1,431件(17.4%)、60〜64歳は1,174件(14.3%)、65歳以上は926件(11.2%)である。この表は事故の件数で、年齢ごとの運転者の数で割った値ではないため、この表だけで年齢による事故の起こしやすさを比べることはできない〈推論〉。
年齢別・区分別の死傷事故件数(表)
| 年齢 | 大型 | 中型 | 準中型 | 普通 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 24歳以下 | 60 | 62 | 134 | 44 | 300 |
| 25〜29歳 | 192 | 111 | 145 | 44 | 492 |
| 30〜34歳 | 210 | 108 | 126 | 28 | 472 |
| 35〜39歳 | 203 | 122 | 118 | 14 | 457 |
| 40〜44歳 | 278 | 172 | 138 | 33 | 621 |
| 45〜49歳 | 421 | 211 | 184 | 48 | 864 |
| 50〜54歳 | 729 | 380 | 263 | 59 | 1,431 |
| 55〜59歳 | 768 | 379 | 289 | 62 | 1,498 |
| 60〜64歳 | 536 | 348 | 235 | 55 | 1,174 |
| 65歳以上 | 357 | 285 | 228 | 56 | 926 |
出典: 全日本トラック協会 表4-3(2025年・件)
年齢層ごとに区分の構成率を見ると、55〜59歳の死傷事故の51.3%、50〜54歳の50.9%は大型が第1当事者だった。一方で、24歳以下の死傷事故の44.7%は準中型で、資料は、第1当事者の種別によって運転者の年齢層が異なっているとしている。
時間帯別の死傷事故と死亡事故率
表5-1 は、死傷事故と死亡事故を2時間ごとの時間帯で数え、死亡事故率(死傷事故件数に占める死亡事故件数の割合)を出している。
時間帯別の死亡事故率(2025年)
出典: 全日本トラック協会 表5-1 の死亡事故率(死亡事故件数/死傷事故件数×100)をもとに編集部が作成。青い棒は5%以上の時間帯。棒の長さは最も高い2〜3時台の10.7%に対する割合。全体は2.3%
事業用トラック(軽自動車を除く)の死亡事故率は深夜・早朝に高く、2〜3時台は10.7%と、全体の2.3%の4倍を超える(倍率は編集部の計算)。死傷事故の件数では8〜9時台の1,493件(18.1%)が最も多く、死亡事故の件数では4〜5時台の32件(17.0%)が最も多かった。表5-3 によると、大型の死亡事故は4〜5時台が19件、2〜3時台が15件、10〜11時台が14件である。死亡事故率は時間帯ごとの事故の中の割合で、時間帯ごとの走行量で割った値ではない。
時間帯別の死傷事故・死亡事故と死亡事故率(表)
| 時間帯 | 死傷事故 | 死亡事故 | 死亡事故率 |
|---|---|---|---|
| 0〜1時台 | 206 | 19 | 9.2% |
| 2〜3時台 | 234 | 25 | 10.7% |
| 4〜5時台 | 409 | 32 | 7.8% |
| 6〜7時台 | 974 | 15 | 1.5% |
| 8〜9時台 | 1,493 | 23 | 1.5% |
| 10〜11時台 | 1,342 | 16 | 1.2% |
| 12〜13時台 | 1,009 | 7 | 0.7% |
| 14〜15時台 | 984 | 16 | 1.6% |
| 16〜17時台 | 693 | 8 | 1.2% |
| 18〜19時台 | 398 | 8 | 2.0% |
| 20〜21時台 | 280 | 8 | 2.9% |
| 22〜23時台 | 213 | 11 | 5.2% |
| 合計 | 8,235 | 188 | 2.3% |
出典: 全日本トラック協会 表5-1(2025年・件)
飲酒運転・整備不良と車両的要因(タイヤ・車輪)
表10-1 によると、2025年の飲酒運転による死傷事故は13件で、うち死亡事故が2件、重傷事故が0件、軽傷事故が11件だった。飲酒基準別では、酒酔いが0件、酒気帯び(呼気中のアルコール濃度0.25mg/l以上)が6件、酒気帯び(0.25mg/l未満)が4件、基準以下が2件、検知不能が1件である。
整備不良による死傷事故(事故の発生に最も影響を与えた道路交通法上の法令違反が「整備不良」であったもの)は、2025年に15件で、資料は2016年からの10年間で最も多いとしている。15件のうち12件は大型だった(表11)。
車両的要因(車両の構造、装置の不良及び車両の状態的な不良が事故の発生の要因と考えられる場合で、車両の不良状態が人的要因を誘発した場合を含む)による死傷事故は64件で、主な要因は次のとおりである。
| 車両的要因 | 大型 | 合計 |
|---|---|---|
| 制動装置不良 | 2 | 4 |
| タイヤ不良 | 7 | 10 |
| 車輪不良 | 6 | 7 |
| 整備不良の小計 | 18 | 25 |
| 荷くずれ | 16 | 22 |
| 積み荷等の車外はみ出し | 3 | 4 |
| 状態的不良の小計 | 22 | 32 |
| その他の車両的要因 | 2 | 7 |
| 車両的要因の合計 | 42 | 64 |
出典: 全日本トラック協会 表12(2025年・件)。中型・準中型・普通の内訳と、整備不良・状態的不良の中の0件の行と1〜2件の一部の行(燃料・潤滑装置不良など)は載せていない。合計の64件は、整備不良の小計25件・状態的不良の小計32件・その他の車両的要因7件の和で、合計の欄は区分(大型・中型・準中型・普通)の和
事業用トラック(軽自動車を除く)の車両的要因による死傷事故64件のうち、整備不良の要因ではタイヤ不良が10件、車輪不良が7件で、そのうち大型はタイヤ不良7件・車輪不良6件だった。表11 の整備不良(法令違反の区分)と表12 の整備不良(要因の区分)は数え方が違い、件数も一致しない。また、車輪不良の7件は人身事故の件数で、国土交通省が冬用タイヤの交換期に注意を呼びかけた大型車の車輪脱落事故(令和7年度は128件で、年度ごとに、車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上の自動車を、自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告で数えたもの)とは数え方が違う。車輪脱落事故の内訳は、冬用タイヤの交換と車輪脱落事故の記事にまとめている。
高速道路の事故と追突事故
表3-1 によると、2025年の高速道(高速自動車国道と指定自動車専用道路)での死傷事故は1,106件で、うち死亡事故が33件だった。
「このうち追突の合計は、駐・停車中と進行中を合わせて 662 件(59.9%)と、高速道路における死傷事故全体(1,106 件)の半数以上を占めています。」全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」本文5頁
事業用トラック(軽自動車を除く)の高速道路での死傷事故1,106件のうち追突は662件(59.9%)で、2024年の703件から41件減った。表16-1 によると、走行車への追突は248件から215件に減り、車線停止中(その他・渋滞停止中を含む)の車への追突は258件から259件になった。高速道路での事故類型の詳細区分では、「追突-駐・停車中」が446件(40.3%)、進路変更時衝突が220件(19.9%)、「追突-進行中」が216件(19.5%)だった。
都道府県別の件数と自分の地域の数字の探し方
付録2 は、事業用自動車の死傷事故件数を都道府県別に載せている。下の表は、そのうち貨物車(軽自動車を除く)の区分の値である。
都道府県別の死傷事故件数(貨物車・2025年・表)
| 都道府県 | 大型 | 中型 | 準中型 | 普通 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 139 | 47 | 36 | 19 | 241 |
| 青森 | 26 | 7 | 9 | 2 | 44 |
| 岩手 | 15 | 4 | 3 | 0 | 22 |
| 宮城 | 45 | 22 | 15 | 3 | 85 |
| 秋田 | 9 | 4 | 2 | 0 | 15 |
| 山形 | 24 | 12 | 8 | 2 | 46 |
| 福島 | 35 | 12 | 7 | 0 | 54 |
| 東京 | 252 | 214 | 367 | 98 | 931 |
| 茨城 | 95 | 57 | 29 | 6 | 187 |
| 栃木 | 38 | 34 | 17 | 2 | 91 |
| 群馬 | 106 | 45 | 29 | 12 | 192 |
| 埼玉 | 241 | 172 | 175 | 37 | 625 |
| 千葉 | 165 | 133 | 103 | 21 | 422 |
| 神奈川 | 284 | 167 | 198 | 32 | 681 |
| 新潟 | 28 | 13 | 8 | 1 | 50 |
| 山梨 | 19 | 14 | 10 | 2 | 45 |
| 長野 | 50 | 25 | 15 | 3 | 93 |
| 静岡 | 221 | 109 | 58 | 14 | 402 |
| 富山 | 16 | 14 | 5 | 1 | 36 |
| 石川 | 16 | 12 | 5 | 2 | 35 |
| 福井 | 18 | 9 | 5 | 1 | 33 |
| 岐阜 | 44 | 33 | 7 | 2 | 86 |
| 愛知 | 368 | 243 | 131 | 40 | 782 |
| 三重 | 59 | 24 | 8 | 3 | 94 |
| 滋賀 | 56 | 22 | 10 | 6 | 94 |
| 京都 | 29 | 23 | 30 | 10 | 92 |
| 大阪 | 399 | 275 | 262 | 76 | 1,012 |
| 兵庫 | 222 | 128 | 89 | 9 | 448 |
| 奈良 | 30 | 13 | 13 | 3 | 59 |
| 和歌山 | 11 | 5 | 4 | 0 | 20 |
| 鳥取 | 5 | 2 | 2 | 0 | 9 |
| 島根 | 6 | 1 | 5 | 0 | 12 |
| 岡山 | 82 | 32 | 15 | 2 | 131 |
| 広島 | 72 | 34 | 14 | 6 | 126 |
| 山口 | 51 | 17 | 8 | 1 | 77 |
| 徳島 | 22 | 8 | 8 | 5 | 43 |
| 香川 | 25 | 6 | 11 | 0 | 42 |
| 愛媛 | 28 | 9 | 11 | 2 | 50 |
| 高知 | 4 | 1 | 3 | 1 | 9 |
| 福岡 | 232 | 114 | 71 | 7 | 424 |
| 佐賀 | 36 | 17 | 5 | 1 | 59 |
| 長崎 | 18 | 5 | 6 | 1 | 30 |
| 熊本 | 32 | 14 | 15 | 2 | 63 |
| 大分 | 24 | 6 | 9 | 1 | 40 |
| 宮崎 | 20 | 8 | 8 | 5 | 41 |
| 鹿児島 | 25 | 10 | 9 | 0 | 44 |
| 沖縄 | 12 | 2 | 2 | 2 | 18 |
| 合計 | 3,754 | 2,178 | 1,860 | 443 | 8,235 |
出典: 全日本トラック協会 付録2「事業用自動車の第1当事者種別・都道府県別の死傷事故件数(令和7年)」の貨物車の欄(件)。北海道は札幌・函館・旭川・釧路・北見の計。軽自動車及びミニカーを除く。トレーラは貨物車の内数
付録2 の事業用トラック(軽自動車を除く)の都道府県別の死傷事故件数では、大阪の1,012件が最も多く、東京の931件、愛知の782件が続く。付録2 は都道府県別の表で、付録25・付録27 の「管轄運輸支局(車籍)別」の表とは別の数え方である。車籍別の付録25 によると、全国の死亡事故は車両1万台当たり1.4件、付録27 によると、死者数と重傷者数の合計は車両1万台当たり7.8人だった(車両台数は、トレーラ及び軽自動車を除く営業用貨物自動車の保有車両台数で、令和7年12月末現在の1,329,261台)。
- 全日本トラック協会のサイトで「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」(PDF)を開く
- 付録2(64頁)で、自分の都道府県の行の大型・中型・準中型・普通の件数を見る
- 車籍(管轄運輸支局)ごとの死亡事故と1万台当たりの件数は付録25(98頁)、死者数と重傷者数は付録27(100頁)で見る
事業用自動車総合安全プラン2030の目標との差
全日本トラック協会の「死亡・重傷事故編」の資料によると、国土交通省は、令和12年度(2030年度)までに達成すべき目標値を盛り込んだ「事業用自動車の総合安全プラン2030」を令和8年3月に策定・公表した。全日本トラック協会は、これを受けて「トラック事業における総合安全プラン2030」の目標値を定めている。資料が載せる目標と、2025年の値を並べると次のようになる。
| 目標の項目 | 目標(令和12年まで)と 2025年の値 |
|---|---|
| 死者数 国交省 | 目標 175人以下 2025年 191人 |
| 重傷者数 国交省 | 目標 820人以下 2025年 847人 |
| 死者数+ 重傷者数 全ト協 | 目標 995人以下 2025年 1,038人 |
| 人身事故 件数 国交省・全ト協 | 目標 5,800件以下 2025年 8,235件 |
| 追突事故 件数 国交省・全ト協 | 目標 2,380件以下 2025年 3,651件 |
| 飲酒運転 国交省・全ト協 | 目標 ゼロ 2025年 13件 |
出典: 全日本トラック協会「2025年の交通事故統計分析結果【確定版(車籍別)死亡・重傷事故編】」表1(国土交通省の目標・軽自動車を除く)・表2(全日本トラック協会の目標・軽自動車を含まない)、「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」表3-1・表3-2・表10-1・表17-1、付録27。差は編集部の計算
全日本トラック協会の令和12年までの目標の「死者数+重傷者数 995人以下」に対し、軽自動車を除く事業用トラックの2025年の死者数と重傷者数の合計は1,038人で、43人上回っている(差は編集部の計算)。死亡・重傷事故編は、2025年の死亡・重傷事故を973件、死者と重傷者の合計を1,038人、営業用トラック1万台当たりの死者数と重傷者数の合計を7.81人としており、全日本トラック協会の目標では、1万台当たりの死者数と重傷者数の合計を7.5人以下にするとしている。人身事故件数と追突事故件数の行は、目標の人身事故件数と、この記事の死傷事故件数が、どちらも軽自動車を除く事業用トラックの人身事故を数えたものと読める前提で並べた〈推論〉(同じ定義だと書いた原文は無い)。飲酒運転の行の13件は表10-1 の飲酒運転による死傷事故の件数で、目標の「飲酒運転ゼロ」が何を数えるかは、資料に書かれていない(編集部が確認した範囲)。
編集部の見方
死傷事故は10年で4割以上減り、死者と重傷者は全ト協の2030年の目標(995人以下)を43人上回る
01
前年からの減少は中型以下が中心
2025年の死傷事故は前年から384件減り、内訳は中型143件、準中型195件、普通43件、大型3件だった(編集部の計算)。表1 の注は、大型以外の区分は参考値だとしている。
事業用トラック(軽自動車を除く)の死傷事故で前年から減った384件のうち、大型の分は3件で、死亡事故188件のうち122件が大型だったことを合わせると、全体の目標に近づくには大型の事故をどう減らすかが論点になる〈推論〉。この資料には区分ごとの走行量のデータが無く、大型の事故の起こしやすさが他の区分より高いかどうかは分からない。
02
深夜・早朝の事故は件数は少ないが重い
0〜5時台の死傷事故は849件で全体の約1割だが、死亡事故は76件で188件の約4割を占める(編集部の計算)。大型の死亡事故は、4〜5時台の19件が時間帯別で最も多い。
事業用トラック(軽自動車を除く)の事故は、深夜・早朝に起きたときに死亡事故になる割合が高く、大型の死亡事故もこの時間帯に多い。この資料からは、深夜・早朝に走る車の台数や走行距離は分からず、時間帯ごとの事故の起こりやすさは比べられない〈推論〉。
03
整備不良の事故は10年で最多の15件
整備不良(法令違反)による死傷事故は15件で、資料は10年間で最も多いとしている。車両的要因では、タイヤ不良が10件、車輪不良が7件だった。
事業用トラック(軽自動車を除く)の車両的要因による死傷事故のうち、整備不良の要因ではタイヤ不良と車輪不良が合わせて17件で、整備不良の小計25件の約7割を占める(編集部の計算)。件数は死傷事故全体の1%に満たないが、国土交通省は冬用タイヤの交換期に大型車の車輪脱落事故への注意を呼びかけており、タイヤ脱着作業管理表や日常点検の決まりは、車輪脱落事故の記事にまとめている。
出典: 全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」(令和7年データ)・「2025年の交通事故統計分析結果【確定版(車籍別)死亡・重傷事故編】」。〈推論〉は編集部の整理で、資料の記述ではない
まとめ
- 軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年の死傷事故は8,235件で、前年から384件、2016年から6,365件(43.6%)減った。
- 軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった死亡事故は188件で、うち大型が122件だった。死者は191人で、前年の208人から減った。
- 事業用トラック(軽自動車を除く)の死傷事故の前年からの減り方は区分で違い、準中型は195件減ったが、大型は3,757件から3,754件への3件の減少だった。
- 事業用トラック(軽自動車を除く)の死傷事故の44.3%は追突で、死亡事故率は2〜3時台が10.7%と、全体の2.3%より高かった。
- 全日本トラック協会の資料によると、事業用トラック(軽自動車を除く)による2025年の死者と重傷者の合計は1,038人で、全日本トラック協会の令和12年までの目標の995人以下を43人上回っている(差は編集部の計算)。
よくある質問
トラックの事故件数は?推移は?
全日本トラック協会の集計では、軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった死傷事故は、2025年に8,235件でした。2016年(平成28年)の14,600件から10年間で6,365件(43.6%)減り、前年の8,619件からは384件減っています(前年との差は編集部の計算)。対象は人身事故で、物損事故は含みません。
トラックの死亡事故は何件?大型が多い?
軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年の死亡事故は188件、死者は191人でした。第1当事者の区分では大型が122件で、188件の約65%(64.9%、編集部の計算)を占めます。死傷事故に占める死亡事故の割合(死亡事故率)は全体で2.3%、大型では3.2%でした(大型の率は編集部の計算)。
トラックの事故の原因ランキングは?
軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年の死傷事故を事故類型で見ると、追突が3,651件(44.3%)で、うち「追突-駐・停車中」が3,159件でした。法令違反別(事故の結果に最も影響を与えている違反で、無免許運転、無資格運転及び酒気帯び運転以外の違反)では、安全不確認2,447件、脇見運転1,309件、動静不注視1,070件の順に多くなっています。死亡事故に限ると、表9-1 では脇見運転が37件で最も多く、歩行者妨害等27件、漫然運転25件が続きます。
事故を起こした運転者の年齢は?
軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年の死傷事故を運転者の年齢別に見ると、55〜59歳が1,498件(18.2%)、50〜54歳が1,431件(17.4%)、60〜64歳が1,174件(14.3%)で、50歳以上を合計すると5,029件(61.1%)です。これは事故の件数で、年齢ごとの運転者の数や走行距離で割った値ではありません。そのため、この表だけでは、年齢による事故の起こしやすさは比べられません〈推論〉。
トラックの飲酒運転の事故は何件?
軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった2025年の死傷事故のうち、飲酒運転によるものは13件で、うち死亡事故が2件でした。飲酒基準別では、酒気帯び(呼気中のアルコール濃度0.25mg/l以上)が6件、酒気帯び(0.25mg/l未満)が4件、基準以下が2件、検知不能が1件です。全日本トラック協会の資料が載せる国土交通省の目標と全日本トラック協会の目標には、どちらも飲酒運転ゼロが入っています。
トラックと自転車の死亡事故は?
全日本トラック協会の表17-4 によると、軽自動車を除く事業用トラックが第1当事者となった事故の2025年の死者191人のうち、第2当事者が自転車だった死者(対自転車)は33人、歩行者だった死者(対歩行者)は72人でした。重傷者847人のうち、自転車(駆動補助機付自転車を含む)は221人です(編集部の計算)。対自転車の死者は、2016年が53人、2024年が30人でした。
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出典と参考資料
- 全日本トラック協会「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」(令和7年データ・令和8年9月・PDF) https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/anzen/kotsuanzen_ichiran/jiko_r08.pdf
- 全日本トラック協会「2025年の交通事故統計分析結果【確定版(車籍別)死亡・重傷事故編】」(PDF) https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/anzen/jiko_toukei_data/ITARDA_R7b.pdf
- 国土交通省「(別紙1)令和7年度大型車の車輪脱落事故発生状況」(2026年10月1日の報道発表の別紙・PDF) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002024585.pdf
アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)


