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労務費の基準WGが第13回会合
標準労務費とは・建設業法第20条と設計労務単価
国土交通省は2026年10月5日、中央建設業審議会の「労務費の基準に関するワーキンググループ」(労務費WG)の第13回会合を開いた。中央建設業審議会が2025年12月2日に作成・勧告した「労務費に関する基準」について、国交省は配布資料で、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で「労務費の基準値」を公表したことや、建設Gメンの調査の結果を報告し、鉄筋・型枠などを対象にした新しい調査の案を示した。第13回の議事録は、2026年10月28日に編集部が確認した時点で国交省のページに載っていない。この記事では、検索で「標準労務費」と呼ばれているとみられるこの基準〈推論〉の中身と、2025年12月12日に施行された建設業法の条文、2026年3月から適用の公共工事設計労務単価を、建設会社や重機を使う事業者の立場から整理する。
この記事のポイント
- 基準値は22職種分野133工種2026年10月までに公表した。建設業許可の29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。
- 著しく下回る見積りは禁止2025年12月12日から、建設業法第20条第2項が、見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じている。
- 運転手(特殊)は29,442円令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価の全国平均値(加重平均・8時間当たり)である。伸び率(単純平均)は、令和7年3月と比べて+4.8%である。
マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。
労務費の基準WG第13回(10月5日)で報告・審議されたこと
国土交通省は2026年9月29日、中央建設業審議会の「労務費の基準に関するワーキンググループ」(労務費WG)の第13回会合を10月5日に開くと発表した。中央建設業審議会は、建設工事の労務費に関する基準を作成し、2025年12月にその実施を勧告しており、第13回は、継続して審議することとされていた事項を議論するために開かれた。
「中央建設業審議会では、建設工事の労務費に関する基準を作成し、令和7年12月にその実施を勧告いたしました。」国土交通省 報道発表(令和8年9月29日)
| 日時 | 2026年10月5日 |
|---|---|
| 議題1 | 「労務費に関する |
| 議題2 | 既存調査の |
| 議題3 | 新規調査の |
| 資料 | 資料1 |
| 議事録 | 2026年10月28日に |
出典: 国土交通省 報道発表「中央建設業審議会 労務費の基準に関するワーキンググループ(第13回)の開催」(令和8年9月29日)、第13回の議事次第と配布資料のページ
資料1は、令和8年度が全面施行の後の最初の年度であるとして、基準の定着・徹底のための取組を「強力に推進していく」と書き、取組の状況を数字で示した。主な数字は次のとおりである。
| 労務費の 基準値 | 2026年10月までに |
|---|---|
| 建設業許可 | |
| 職種別 意見 交換会 | 2024年11月以降、 |
| 自主宣言 | 「建設技能者を |
| 2026年2月末 | |
| 建設 Gメン (令和7年度) | 1,318件・ |
| 賃金情報 提供制度 | 令和9年1月頃の |
出典: 第13回 資料1「「労務費に関する基準」実効性確保策の取組状況」。建設Gメンの指導件数には、法未施行の規定に係る指導を含む(資料の注記)
国交省は第13回の資料で、「労務費の基準値」を2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で公表したことや、建設Gメンが令和7年度に768事業者に指導、助言等を行ったことを報告した。第13回の議事録は、2026年10月28日に編集部が確認した時点で掲載されておらず、会合での審議の結果は確認できていない。
第13回で示された3つの新しい調査(鉄筋・型枠、行き渡り、左官・内装)
資料3は、基準の運用の状況を確かめるため、新しい実態調査を3つ行う方針を示した。資料3は、基準の本文の「基準の見直し」の項を引き、運用状況のフォローアップを行い、必要に応じて労務費WGで議論して見直し等の措置を講ずることが適切としている。
| ①「適正 労務費」の 反映 | 鉄筋工事・ |
|---|---|
| 各都道府県で | |
| 改正建設業法の | |
| 10月下旬から | |
| ②「行き 渡り」の 阻害要因 | 民間建築 |
| 改正建設業法の | |
| ③CCUS レベル別 年収の 支払い | 左官工事・ |
| 各ブロックで | |
| 直近1年分 |
出典: 第13回 資料3「新規調査によるフォローアップ」。表記は原文から一部整理。資料3は議題3(【審議】)の資料で、調査の方法は「本WG後」に関係者と具体的に調整するとしている
「いずれについても、あくまで施策検討に向けた一般的な課題把握を目的とし、法令に基づく取締り・指導を目的としない調査とする。」第13回 資料3(新たな実態調査の実施方針について)
資料3が示した新しい調査は、鉄筋・型枠の見積り、工事ごとの「行き渡り」の阻害要因、左官・内装の賃金の支払い状況の3つで、資料は、いずれも取締りや指導を目的としない調査と書いている。資料2は、既存の調査にも設問を足すとしており、2026年度の下請取引等実態調査では、下請負人に対し、労務費を内訳明示した見積書を出すときに業種別の公共工事設計労務単価や「労務費に関する基準」を参照したかを尋ねる。
標準労務費とは(国の基準と基準値の仕組み)
「標準労務費」という呼び名は、2023年9月19日の中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会の中間とりまとめに出てくる。中間とりまとめは、次のように提言した。
「適正な工事実施のために計上されるべき労務費を中長期的にも持続可能な水準で設定し、これを「標準労務費」として、学識者・受注者・発注者から構成される公平中立な機関である中央建設業審議会から勧告すべきである。」基本問題小委員会 中間とりまとめ(令和5年9月19日)
その後、2024年の改正法(令和6年法律第49号)によって、中央建設業審議会は建設工事の労務費に関する基準を作成し、その実施を勧告できることになった。国交省のページは、基準ができた経緯を次のように書いている。
「令和7年12月2日に開催した中央建設業審議会において「労務費に関する基準」が作成され、その実施が勧告されました。」国土交通省「建設・不動産業:労務費に関する基準」
検索で「標準労務費」と呼ばれているのは、2023年の中間とりまとめが提言し、2025年12月2日に中央建設業審議会が作成・勧告した「労務費に関する基準」を指すとみられる〈推論〉。編集部が取得した基準の本文と第13回の資料には、「標準労務費」の語は出てこない(2026年10月28日に編集部が確認した範囲)。基準は、公共工事・民間工事を問わず、発注者から技能者を雇用する建設業者までのすべての取引段階の請負契約で、適正な労務費(賃金の原資)を確保することを目的としている。
| 基準の 位置づけ | 建設 |
|---|---|
| 価格交渉のときに | |
| 適正な 労務費の 考え方 | 公共 |
| 労務費の 基準値 | 国交省が |
| 標準的な | |
| 基準値に 含まれない もの | 法定福利費の |
| ポータルサイトは、 |
出典: 「労務費に関する基準」本文(令和7年12月2日 中央建設業審議会決定)、労務費に関する基準ポータルサイト「基本的な考え方」。表記は原文から一部整理
ポータルサイトには、基準値の無い職種分野についての注記もある。
「※基準値の定めのない職種分野においても、基準の基本的な考え方に沿った適正な労務費等を確保する必要性に変わりはありません。」労務費に関する基準ポータルサイト(2026年10月28日に確認)
建設業法第20条・第19条の3の改正前と改正後(2025年12月12日施行)
基準の本文は、第三次・担い手3法による改正の全面施行(令和7年12月12日)の時点の条項で法律を引いている。e-Gov の法令の版でも、建設業法の第19条の3と第20条は、2025年12月12日の版から次のように変わっている。
| 第19条の3 (不当に 低い請負 代金の 禁止) | 改正前は |
|---|---|
| 改正後は、 | |
| 第20条 第1項 (見積り) | 改正前は、 |
| 改正後は、 | |
| 第20条 第2項 (新設) | 材料費等記載 |
| 第20条 第4項 | 注文者は |
| 第20条 第6項・ 第7項 (新設) | 注文者は、 |
| 違反した | |
| 経過措置 (改正法の 附則 第2条) | 第19条の3 |
| 改正後の |
出典: e-Gov 法令API「建設業法」の2025年12月11日時点の版と現行の版(現行の版に収録された改正法(令和6年法律第49号)の附則第2条第3項・第4項を含む)。e-Gov の2025年12月12日の版は、改正法「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行による版。表記は原文から一部整理
「前項の場合において、材料費等記載見積書に記載する材料費等の額は、当該建設工事を施工するために通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回るものであつてはならない。」建設業法 第20条第2項(e-Gov)
「建設業者は、自らが保有する低廉な資材を建設工事に用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、その請け負う建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。」建設業法 第19条の3第2項(e-Gov)
2025年12月12日の施行で、材料費等記載見積書の作成が努力義務とされ、そこに書く材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ってはならないという禁止と、建設業者の側の原価割れ契約の禁止が加わった。第19条の3第2項は、自らが保有する低廉な資材を建設工事に用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、建設業者が通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を結ぶことを禁じている。
違反したときの指導・勧告・公表(第28条・第20条第7項)
基準の本文は、改正建設業法の主な措置を整理し、違反したときの対応を次のように書いている。
「中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成・勧告(建設業法第34条)し、これを著しく下回る見積り・契約締結を禁止(同法第20条)。併せて、違反した建設業者には指導・監督(同法第28条)を、違反した発注者には勧告・公表(同法第20条)をそれぞれ実施」「労務費に関する基準」本文(令和7年12月2日 中央建設業審議会決定)
| 発注者 への勧告 の対象 | 第20条第6項に |
|---|---|
| 金額は | |
| 勧告 する者 | 当該建設業者の |
| 特に | |
| 公表 | 第20条第8項が |
| 建設業者 への対応 | 基準の |
| 第28条第1項は、 | |
| 罰則 | 建設業法の |
| 第47条は、 |
出典: e-Gov「建設業法」第19条の6・第20条第7項・第8項・第28条・第47条・第8章(罰則)、「建設業法施行令」第6条の2、「労務費に関する基準」本文。表記は原文から一部整理
基準の本文は、基準を著しく下回る見積り・契約について、建設業者には第28条による指導・監督を、発注者には第20条による勧告・公表を行うと整理しており、発注者への勧告は、通常必要と認められる費用の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の契約が対象になる。第28条第1項が除く規定に第19条の3第2項と第20条は入っていないため、これらに違反した建設業者は、第28条第1項の指示や、指示に従わないときの営業停止の対象になりうる〈推論〉。
基準の本文は、建設Gメンの調査について、当初の見積書と最終の見積書で労務費に差額がある場合や、労務単価が工種ごとの標準的な値と比べて著しく下回っている場合に原因者を把握し、歩掛や労務単価が標準的な値から著しく乖離している理由が、機械導入等の生産性向上(歩掛(必要人工)の減少)によるものか、労務単価の引き下げによるものか等を検証したうえで違法性の疑いを確認する、という流れを挙げ、これを「望ましい姿」としている。
「といったプロセスを経ることが望ましい姿として考えられる。」「労務費に関する基準」本文(第3章(2)⑤)
一方で本文は、こうした調査手法を確立するには、歩掛や労務単価が内訳明示された適正な見積書が作成され、そのすり合わせで価格が決まる商慣行の確立が前提として不可欠だとし、当面の建設Gメンの役割を次のように書いている。
「このため、建設Gメンは、法施行後当面の間は、上述の商慣行のサプライチェーン全体における定着に向け、労務費等を内訳明示した見積書の普及や、そのボトルネックの解消に向けた調査・助言に、重点的に取り組むことが求められる。」「労務費に関する基準」本文(第3章(2)⑤)
公共工事設計労務単価(令和8年3月から)と運転手(特殊)・(一般)
基準の本文によると、労務費の基準値は、労務単価(公共工事設計労務単価を適用)×歩掛の計算式で示すことを基本とし、やむを得ない場合は定性的な形で設定することも妨げない。国交省は2026年2月17日、令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価を発表した。単価は47都道府県・51職種別に決められ、全国全職種の平均値(加重平均)は25,834円である。平成25年度の改定から14年連続の引き上げで、初めて25,000円を超えた。次の表の金額は加重平均値、伸び率は単純平均値で算出されている(資料の注記)。
「公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていません。よって、下請代金に必要経費分を計上しない、又は下請代金から値引くことは不当行為です。」国土交通省 報道発表(令和8年2月17日)
| 全国 全職種 | 25,834円 |
|---|---|
| 主要 12職種 | 24,095円 |
| 運転手 (特殊) | 29,442円 |
| 運転手 (一般) | 25,275円 |
| 特殊 作業員 | 28,111円 |
| 普通 作業員 | 23,605円 |
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料の資料1。金額は加重平均値、伸率は単純平均値。所定労働時間内8時間当たりの単価で、時間外・休日・深夜の割増賃金や、現場管理費(法定福利費(事業主負担分)など)・一般管理費等の諸経費は含まれていない

報道発表の資料は、職種の定義で、運転手(特殊)と運転手(一般)を次のように分けている。
| 運転手 (特殊) | 重機械 |
|---|---|
| 機械 | |
| 運転手 (一般) | 大型・ |
| 特殊 作業員 (参考) | 機械 |
出典: 同資料「調査対象職種の定義・作業内容」(14 運転手(特殊)・15 運転手(一般)・01 特殊作業員)。表記は原文から一部整理
令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価は、重機械の運転・操作を担う運転手(特殊)が全国平均29,442円、貨物自動車の運転などを担う運転手(一般)が25,275円で、いずれも8時間当たりの賃金に相当し、法定福利費の事業主負担分などは含まない。機械重量3t以上のバックホウを運転する技能者は、資料の定義では運転手(特殊)にあたる〈推論〉。都道府県ごとの単価は、次の表で確かめられる。
運転手(特殊)・(一般)の都道府県別の単価(47都道府県)を開く
| 北海道 | 特殊 27,100円・ |
|---|---|
| 青森県 | 特殊 34,400円・ |
| 岩手県 | 特殊 33,600円・ |
| 宮城県 | 特殊 35,300円・ |
| 秋田県 | 特殊 33,200円・ |
| 山形県 | 特殊 31,300円・ |
| 福島県 | 特殊 30,200円・ |
| 茨城県 | 特殊 30,300円・ |
| 栃木県 | 特殊 27,900円・ |
| 群馬県 | 特殊 27,900円・ |
| 埼玉県 | 特殊 31,700円・ |
| 千葉県 | 特殊 30,800円・ |
| 東京都 | 特殊 31,100円・ |
| 神奈川県 | 特殊 32,200円・ |
| 新潟県 | 特殊 28,200円・ |
| 富山県 | 特殊 30,200円・ |
| 石川県 | 特殊 29,700円・ |
| 福井県 | 特殊 26,400円・ |
| 山梨県 | 特殊 31,300円・ |
| 長野県 | 特殊 27,700円・ |
| 岐阜県 | 特殊 31,200円・ |
| 静岡県 | 特殊 30,300円・ |
| 愛知県 | 特殊 30,600円・ |
| 三重県 | 特殊 30,200円・ |
| 滋賀県 | 特殊 27,400円・ |
| 京都府 | 特殊 26,000円・ |
| 大阪府 | 特殊 27,900円・ |
| 兵庫県 | 特殊 26,300円・ |
| 奈良県 | 特殊 27,100円・ |
| 和歌山県 | 特殊 25,400円・ |
| 鳥取県 | 特殊 21,600円・ |
| 島根県 | 特殊 23,700円・ |
| 岡山県 | 特殊 25,600円・ |
| 広島県 | 特殊 25,900円・ |
| 山口県 | 特殊 24,000円・ |
| 徳島県 | 特殊 24,300円・ |
| 香川県 | 特殊 26,300円・ |
| 愛媛県 | 特殊 26,400円・ |
| 高知県 | 特殊 26,800円・ |
| 福岡県 | 特殊 28,200円・ |
| 佐賀県 | 特殊 31,200円・ |
| 長崎県 | 特殊 26,700円・ |
| 熊本県 | 特殊 27,400円・ |
| 大分県 | 特殊 29,800円・ |
| 宮崎県 | 特殊 29,600円・ |
| 鹿児島県 | 特殊 32,700円・ |
| 沖縄県 | 特殊 32,400円・ |
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料の単価表(9ページ)。単位は円・所定労働時間内8時間当たり。表の値は、資料の表から列の位置で取り出し、別の方法で取り出した値と47都道府県すべてで一致することを確かめた
CCUSレベル別年収・自主宣言・経審の加点(令和8年度の取組)
第13回の資料1は、令和8年度の取組として、労務費等を内訳明示した見積書の商習慣化、「職人いきいき宣言」の拡大、コミットメント制度の普及、CCUSレベル別年収や労務費の基準値の普及を挙げ、加えて新しいフォローアップ調査と建設Gメンによる調査等を行うとした。このうちCCUSレベル別年収は、公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に考えられる年収を、職種別・ブロック別に算出したものである。
| CCUS レベル別 年収 (全国・ 全分野) | レベル1: |
|---|---|
| 目標値と 標準値 | 目標値以上の |
| 自主宣言 と経審 | 「建設技能者を |
| 運用方針 | 「労務費に関する |
| 計71の |
出典: 第13回 資料1。CCUSレベル別年収は公共事業労務費調査(令和7年10月調査)の結果をもとに、公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に考えられる年収を職種別・ブロック別に算出したもの
「本資料に示す金額に法的拘束力はなく、支払いを義務付けるものではない。」第13回 資料1(CCUSレベル別年収(令和8年4月改定)の頁)
CCUSレベル別年収は、全国・全分野でレベル1の標準値が395万円、目標値が535万円以上などと示されているが、資料は、金額に法的拘束力はなく、支払いを義務付けるものではないと書いている。一方で資料は、標準値を下回る支払い状況の事業者について、請負契約で労務費ダンピングの恐れがないかを重点的に確認するとしており、技能者からの「賃金情報提供制度」は、令和9年1月頃の試行運用を目指すとしている。

立場ごとに確かめること
ここまでの条文と資料を、建設会社や重機を使う事業者の立場ごとに整理する。条文と資料の当てはめは編集部の整理で、個別の取引が違反に当たるかどうかは、許可行政庁や国交省の窓口で確かめる必要がある〈推論〉。
| 元請 (総合 工事業者) | 下請から |
|---|---|
| 2026年度の | |
| 下請 (専門 工事業者) | 材料費等記載 |
| 書いた | |
| 注文者から | |
| 自分の | |
| 重機を 使う 事業者 | 資料の |
| 労務費の | |
| 一人親方・ 小規模 事業者 | 基準の |
| 発注者 (施主) | 第20条第6項に |
出典: e-Gov「建設業法」第19条の3・第20条、「建設業法施行令」第6条の2、「労務費に関する基準」本文、第13回 資料2・資料3、労務費に関する基準ポータルサイト。表記は原文から一部整理
基準の本文は、価格の差が生産性向上によるものかを建設Gメンが見分ける調査を「望ましい姿」とし、法施行後当面の間は内訳明示した見積書の普及などに向けた調査・助言に重点的に取り組むことが求められるとしており、重機を使う事業者にとっては、まず見積書で労務費を内訳明示しておくことが、価格の差が機械導入等の生産性向上によるものだと説明する材料になる〈推論〉。基準の本文は、特に建築工事では、改正法の施行の時点で、材料費・労務費・機械損料・経費等が内訳明示されていない総価一式での取引が一般的な職種・工種が多いとして、専門工事業団体の標準見積書の見直し・作成などの取組を挙げている。
編集部の見方
第13回の資料と条文を照らし合わせる
01
基準値のある職種はまだ一部
資料1によると、基準値は22職種分野133工種(作業)で公表され、建設業許可業種の全29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。ポータルサイトは、基準値の無い職種分野でも適正な労務費等を確保する必要性に変わりはないとする。
自分の職種・工種に基準値が無い事業者も、公共工事設計労務単価と自社の歩掛から労務費を説明できるようにしておく必要がある〈推論〉。基準の本文が示す適正な労務費の考え方は、労務単価に適正な歩掛を掛けて施工量を掛ける式で、基準値が無い職種にも当てはめられる形になっている〈推論〉。
02
指導の多くは見積りと契約書の不備
資料1は、建設Gメンが令和7年度に不適正な取引のおそれに対して行った指導等の主な内訳として、見積(内訳明示・条件提示不備等)641件、契約書(法定記載事項の不備等)516件、価格転嫁(金額変更に関する定めの不備等)193件などを挙げている。
指導の内訳の上位は見積と契約書の書き方に関わるもので、見積書の内訳や契約書の記載事項を整えることが、指導を避けるための最初の確認点になる〈推論〉。資料は、1社で複数の事項を指導した場合があるため、件数と事業者数は一致しないと注記している。
03
新しい調査の結果はこれから
資料3の新しい調査は、10月から令和9年1月にかけて行う予定とされている。資料2の日程では、入札契約の実施状況調査は12月、令和8年度の下請取引等実態調査は3月頃、見積書の内訳明示の状況の調査は4月以降に、結果を公表する予定である。対象の職種は、鉄筋・型枠・左官・内装から始め、調査の知見を踏まえて範囲の拡大を検討するとしている。
調査の結果が労務費WGに報告されれば、基準の見直しの議論の材料になるとみられ、重機の運転を主とする職種が対象に入るかは今後の資料で確かめる必要がある〈推論〉。第13回の審議の結果は、議事録が掲載されていないため、編集部では確認できていない(2026年10月28日時点)。
出典: 第13回 資料1〜3、「労務費に関する基準」本文、労務費に関する基準ポータルサイト(2026年10月28日に確認)。〈推論〉は編集部の整理で、国交省の資料の記述ではない
まとめ
- 国土交通省は2026年10月5日、中央建設業審議会の労務費WGの第13回会合を開き、「労務費に関する基準」の実効性確保策の状況と新しい調査の案を示した。
- 「労務費の基準値」は、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で公表され、建設業許可の29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。
- 2025年12月12日に施行された建設業法第20条第2項は、見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じている(改正法の附則により、施行日以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用)。
- 第19条の3第2項は、正当な理由がある場合を除き、建設業者が通常必要と認められる原価に満たない金額で請け負う契約を禁じている(施行日より前に締結された請負契約には適用しない)。
- 令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価は、運転手(特殊)の全国平均値が29,442円、運転手(一般)が25,275円である。
- 第13回の議事録は2026年10月28日時点で掲載されておらず、審議の結果は編集部では確認できていない。
よくある質問
標準労務費とは何ですか?
2023年9月19日の基本問題小委員会の中間とりまとめが、適正な工事のために計上されるべき労務費を「標準労務費」として中央建設業審議会から勧告すべきだと提言したものです。その後、2024年の法改正で中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成・勧告できることになり、2025年12月2日に「労務費に関する基準」が作成・勧告されました。検索で「標準労務費」と呼ばれているのは、この基準を指すとみられます〈推論〉。
標準労務費はいつから?
「労務費に関する基準」は、2025年12月2日に中央建設業審議会で作成され、その実施が勧告されました。見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じる建設業法第20条第2項など(基準の本文は、基準を、同条に規定する「通常必要と認められる労務費」の相場観として機能させるとしています)は、e-Gov の法令の版によると2025年12月12日に施行されています。改正法の附則によると、改正後の第20条は施行日以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用され、第19条の3第2項は施行日より前に締結された請負契約には適用されません。基準値は職種分野ごとに順次公表されており、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)が出ています。
労務費の基準値はどこで見られますか?
国土交通省の「労務費に関する基準ポータルサイト」で、職種分野・都道府県・地図・フリーワードから探せます。基準値は、標準的な作業内容・施工条件等を前提とした場合の「単位施工量当たり労務費」で、個別の契約では、受注者が現場ごとに基準値を踏まえて労務費等を見積もる必要があるとされています。基準値には法定福利費の事業主負担分などの必要経費は含まれていません。
設計労務単価の運転手(特殊)はいくらですか?
令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価で、運転手(特殊)の全国平均値は29,442円、運転手(一般)は25,275円です(金額は加重平均値、伸び率は単純平均値)。単価は所定労働時間内8時間当たりで、時間外・休日・深夜の割増賃金や、法定福利費の事業主負担分などの諸経費は含まれていません。都道府県ごとの単価は、記事の表と国交省の資料で確かめられます。
見積書に労務費を書かないと法律違反ですか?
建設業法第20条第1項は、材料費・労務費などを記載した見積書(材料費等記載見積書)を作るよう「努めなければならない」と定めており、作成は努力義務です。一方で、特に公共工事では、入札の段階で入札金額内訳書に材料費・労務費等の経費を内訳明示することが義務化されています(基準の本文が挙げる入契適正化法第12条)。また、見積書に書く材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることは、建設業法第20条第2項で禁じられています。注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに見積書を交付しなければなりません(建設業法第20条第4項)。
第13回の会合で何が決まりましたか?
議事次第によると、第13回は実効性確保策の状況と既存調査の改定を【報告】、新規調査の実施を【審議】とした会合です。新規調査の案は、鉄筋・型枠の見積りの調査、工事を選んで労務費の行き渡りの阻害要因を聞き取る調査、左官・内装の賃金の支払い状況の調査の3つでした。第13回の議事録は2026年10月28日に編集部が確認した時点で掲載されておらず、審議の結果は確認できていません。
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出典と参考資料
- 国土交通省「中央建設業審議会:労務費の基準に関するワーキンググループ」 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s504_roumuhikijun01.html
- 国土交通省 報道発表「中央建設業審議会 労務費の基準に関するワーキンググループ(第13回)の開催」令和8年9月29日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00381.html
- 国土交通省「第13回労務費の基準に関するWG 配布資料」(議事次第・資料1〜3) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tochi_fudousan_kensetsugyo13_sg_000001_00083.html
- 国土交通省「建設・不動産業:労務費に関する基準」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00044.html
- 中央建設業審議会「労務費に関する基準」令和7年12月2日決定(本文・PDF) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001971712.pdf
- 基本問題小委員会「中間とりまとめ」令和5年9月19日(PDF) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001631030.pdf
- e-Gov 法令検索「建設業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
- e-Gov 法令検索「建設業法施行令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273
- 国土交通省 報道発表「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」令和8年2月17日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00337.html
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料(PDF) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001981942.pdf
- 国土交通省「労務費に関する基準ポータルサイト」 https://roumuhi.mlit.go.jp/
アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)
訂正・追記
- 本文に、国土交通省の資料の図(公共工事設計労務単価の推移と、労務費に関する基準の実効性確保のロードマップ・出典つき)を追加しました。


