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労務費の基準WGが第13回会合
標準労務費とは・建設業法第20条と設計労務単価

文:働く車買取ナビ編集部

国土交通省は2026年10月5日、中央建設業審議会の「労務費の基準に関するワーキンググループ」(労務費WG)の第13回会合を開いた。中央建設業審議会が2025年12月2日に作成・勧告した「労務費に関する基準」について、国交省は配布資料で、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で「労務費の基準値」を公表したことや、建設Gメンの調査の結果を報告し、鉄筋・型枠などを対象にした新しい調査の案を示した。第13回の議事録は、2026年10月28日に編集部が確認した時点で国交省のページに載っていない。この記事では、検索で「標準労務費」と呼ばれているとみられるこの基準〈推論〉の中身と、2025年12月12日に施行された建設業法の条文、2026年3月から適用の公共工事設計労務単価を、建設会社や重機を使う事業者の立場から整理する。

この記事のポイント

  1. 基準値は22職種分野133工種2026年10月までに公表した。建設業許可の29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。
  2. 著しく下回る見積りは禁止2025年12月12日から、建設業法第20条第2項が、見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じている。
  3. 運転手(特殊)は29,442円令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価の全国平均値(加重平均・8時間当たり)である。伸び率(単純平均)は、令和7年3月と比べて+4.8%である。

マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。

労務費の基準WG第13回(10月5日)で報告・審議されたこと

国土交通省は2026年9月29日、中央建設業審議会の「労務費の基準に関するワーキンググループ」(労務費WG)の第13回会合を10月5日に開くと発表した。中央建設業審議会は、建設工事の労務費に関する基準を作成し、2025年12月にその実施を勧告しており、第13回は、継続して審議することとされていた事項を議論するために開かれた。

「中央建設業審議会では、建設工事の労務費に関する基準を作成し、令和7年12月にその実施を勧告いたしました。」国土交通省 報道発表(令和8年9月29日)
日時2026年10月5日(月)10:00~12:00
議題1「労務費に関する基準」に係る実効性確保策の状況について【報告】
議題2既存調査の改定によるフォローアップについて【報告】
議題3新規調査の実施について【審議】
資料資料1「労務費に関する基準」実効性確保策の取組状況、資料2 既存調査の改定によるフォローアップ、資料3 新規調査によるフォローアップ、ほかに委員等名簿など
議事録2026年10月28日に編集部が確認した時点で、国交省のWGのページに第13回の議事録の欄は無い

出典: 国土交通省 報道発表「中央建設業審議会 労務費の基準に関するワーキンググループ(第13回)の開催」(令和8年9月29日)、第13回の議事次第と配布資料のページ

資料1は、令和8年度が全面施行の後の最初の年度であるとして、基準の定着・徹底のための取組を「強力に推進していく」と書き、取組の状況を数字で示した。主な数字は次のとおりである。

労務費の
基準値
2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で公表
建設業許可業種全29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している
職種別
意見
交換会
2024年11月以降、これまでに計25の職種別意見交換会を開いた
自主宣言「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」は6,198社(2026年8月末現在)
2026年2月末時点は953社
建設
Gメン
(令和7年度)
1,318件・1,152事業者を調べ、不正行為やそのおそれが確認された768事業者に指導、助言等を行った
賃金情報
提供制度
令和9年1月頃の試行運用の開始を目指し、令和9年度中の本格運用に向けて検討する予定(資料の「実施スケジュール(予定)」・R8.10時点)

出典: 第13回 資料1「「労務費に関する基準」実効性確保策の取組状況」。建設Gメンの指導件数には、法未施行の規定に係る指導を含む(資料の注記)

国交省は第13回の資料で、「労務費の基準値」を2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で公表したことや、建設Gメンが令和7年度に768事業者に指導、助言等を行ったことを報告した。第13回の議事録は、2026年10月28日に編集部が確認した時点で掲載されておらず、会合での審議の結果は確認できていない。

第13回で示された3つの新しい調査(鉄筋・型枠、行き渡り、左官・内装)

資料3は、基準の運用の状況を確かめるため、新しい実態調査を3つ行う方針を示した。資料3は、基準の本文の「基準の見直し」の項を引き、運用状況のフォローアップを行い、必要に応じて労務費WGで議論して見直し等の措置を講ずることが適切としている。

①「適正
労務費」の
反映
鉄筋工事・型枠工事の2職種
各都道府県で1社程度、各社2現場程度
改正建設業法の全面施行(2025年12月)以降に契約された工事のうち、基準値で定めた標準的な仕様・作業内容で行われた工事で注文者に提出した最終見積書を、各団体の標準見積書に計上して提出してもらう
10月下旬から11月末に調査する予定
②「行き
渡り」の
阻害要因
民間建築(大規模)・民間建築(住宅)・公共土木の工事を対象に、発注者・元請・下請・技能者の労務費と賃金の支払いを聞き取る
改正建設業法の公布(2024年6月)以降に契約された工事が対象で、聞き取りは11月から令和9年1月の予定
③CCUS
レベル別
年収の
支払い
左官工事・内装工事の2職種
各ブロックで数社程度
直近1年分(令和7年11月~令和8年10月)の賃金台帳などを調べる予定

出典: 第13回 資料3「新規調査によるフォローアップ」。表記は原文から一部整理。資料3は議題3(【審議】)の資料で、調査の方法は「本WG後」に関係者と具体的に調整するとしている

「いずれについても、あくまで施策検討に向けた一般的な課題把握を目的とし、法令に基づく取締り・指導を目的としない調査とする。」第13回 資料3(新たな実態調査の実施方針について)

資料3が示した新しい調査は、鉄筋・型枠の見積り、工事ごとの「行き渡り」の阻害要因、左官・内装の賃金の支払い状況の3つで、資料は、いずれも取締りや指導を目的としない調査と書いている。資料2は、既存の調査にも設問を足すとしており、2026年度の下請取引等実態調査では、下請負人に対し、労務費を内訳明示した見積書を出すときに業種別の公共工事設計労務単価や「労務費に関する基準」を参照したかを尋ねる。

標準労務費とは(国の基準と基準値の仕組み)

「標準労務費」という呼び名は、2023年9月19日の中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会の中間とりまとめに出てくる。中間とりまとめは、次のように提言した。

「適正な工事実施のために計上されるべき労務費を中長期的にも持続可能な水準で設定し、これを「標準労務費」として、学識者・受注者・発注者から構成される公平中立な機関である中央建設業審議会から勧告すべきである。」基本問題小委員会 中間とりまとめ(令和5年9月19日)

その後、2024年の改正法(令和6年法律第49号)によって、中央建設業審議会は建設工事の労務費に関する基準を作成し、その実施を勧告できることになった。国交省のページは、基準ができた経緯を次のように書いている。

「令和7年12月2日に開催した中央建設業審議会において「労務費に関する基準」が作成され、その実施が勧告されました。」国土交通省「建設・不動産業:労務費に関する基準」

検索で「標準労務費」と呼ばれているのは、2023年の中間とりまとめが提言し、2025年12月2日に中央建設業審議会が作成・勧告した「労務費に関する基準」を指すとみられる〈推論〉。編集部が取得した基準の本文と第13回の資料には、「標準労務費」の語は出てこない(2026年10月28日に編集部が確認した範囲)。基準は、公共工事・民間工事を問わず、発注者から技能者を雇用する建設業者までのすべての取引段階の請負契約で、適正な労務費(賃金の原資)を確保することを目的としている。

基準の
位置づけ
建設業法第34条に基づく基準
価格交渉のときに参照できる、同法第20条の「通常必要と認められる労務費」の相場観として機能させ、行政が指導・監督するときの参考の指標としても活用できるように作成する、と本文は書いている
適正な
労務費の
考え方
公共工事設計労務単価×施工条件・作業内容等に照らして適正な歩掛で求めた「単位施工量当たりの労務費」に、施工量を掛けた額に相当する額
労務費の
基準値
国交省が職種分野別、都道府県別に、トン当たり・平米当たり等の「単位施工量当たり労務費」の形で公表する具体値
標準的な作業内容・施工条件等を前提とした場合の値で、個別の契約では現場ごとに補正して労務費を算出する必要がある
基準値に
含まれない
もの
法定福利費の事業主負担分等の必要経費
ポータルサイトは、各基準値の次のページに参考値として「雇用に伴う必要経費」を載せている

出典: 「労務費に関する基準」本文(令和7年12月2日 中央建設業審議会決定)、労務費に関する基準ポータルサイト「基本的な考え方」。表記は原文から一部整理

ポータルサイトには、基準値の無い職種分野についての注記もある。

「※基準値の定めのない職種分野においても、基準の基本的な考え方に沿った適正な労務費等を確保する必要性に変わりはありません。」労務費に関する基準ポータルサイト(2026年10月28日に確認)

建設業法第20条・第19条の3の改正前と改正後(2025年12月12日施行)

基準の本文は、第三次・担い手3法による改正の全面施行(令和7年12月12日)の時点の条項で法律を引いている。e-Gov の法令の版でも、建設業法の第19条の3と第20条は、2025年12月12日の版から次のように変わっている。

第19条の3
(不当に
低い請負
代金の
禁止)
改正前は第1項(注文者が、取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額で契約することの禁止)だけ
改正後は、建設業者の側にも原価割れの契約を禁じる第2項が加わった
第20条
第1項
(見積り)
改正前は、材料費・労務費その他の経費の内訳などを「明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない」
改正後は、それらを記載した見積書(材料費等記載見積書)を「作成するよう努めなければならない」
第20条
第2項
(新設)
材料費等記載見積書に書く材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回るものであってはならない
第20条
第4項
注文者は材料費等記載見積書の内容を考慮するよう努め、建設業者は、注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに見積書を交付しなければならない(交付の義務は改正前の第2項にあった)
第20条
第6項・
第7項
(新設)
注文者は、見積書を交付した建設業者に、材料費等の額が著しく下回ることになる変更を求めてはならない
違反した発注者には、許可行政庁が勧告できる(勧告の条件は次の節)
経過措置
(改正法の
附則
第2条)
第19条の3第2項は、改正法の施行日(e-Gov の版では2025年12月12日)より前に締結された請負契約には適用しない(第3項)
改正後の第20条は、施行日以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用し、施行日前に見積書を交付した場合は、なお従前の例による(第4項)

出典: e-Gov 法令API「建設業法」の2025年12月11日時点の版と現行の版(現行の版に収録された改正法(令和6年法律第49号)の附則第2条第3項・第4項を含む)。e-Gov の2025年12月12日の版は、改正法「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行による版。表記は原文から一部整理

「前項の場合において、材料費等記載見積書に記載する材料費等の額は、当該建設工事を施工するために通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回るものであつてはならない。」建設業法 第20条第2項(e-Gov)
「建設業者は、自らが保有する低廉な資材を建設工事に用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、その請け負う建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。」建設業法 第19条の3第2項(e-Gov)

2025年12月12日の施行で、材料費等記載見積書の作成が努力義務とされ、そこに書く材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ってはならないという禁止と、建設業者の側の原価割れ契約の禁止が加わった。第19条の3第2項は、自らが保有する低廉な資材を建設工事に用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、建設業者が通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を結ぶことを禁じている。

違反したときの指導・勧告・公表(第28条・第20条第7項)

基準の本文は、改正建設業法の主な措置を整理し、違反したときの対応を次のように書いている。

「中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成・勧告(建設業法第34条)し、これを著しく下回る見積り・契約締結を禁止(同法第20条)。併せて、違反した建設業者には指導・監督(同法第28条)を、違反した発注者には勧告・公表(同法第20条)をそれぞれ実施」「労務費に関する基準」本文(令和7年12月2日 中央建設業審議会決定)
発注者
への勧告
の対象
第20条第6項に違反して変更させた見積書の内容で、通常必要と認められる費用の額が政令で定める金額以上の契約を結んだ場合
金額は500万円(建築一式工事は1,500万円)=建設業法施行令第6条の2
勧告
する者
当該建設業者の許可をした国土交通大臣または都道府県知事
特に必要があると認めるとき
公表第20条第8項が第19条の6第3項を準用し、勧告を受けた発注者が従わないときは、その旨を公表できる
建設業者
への対応
基準の本文は「違反した建設業者には指導・監督(同法第28条)」と整理している
第28条第1項は、許可行政庁が、許可を受けた建設業者がこの法律の規定(第19条の3第1項などを除く)に違反した場合に必要な指示をできると定め、第3項は、指示に従わないときなどに1年以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じられると定める
罰則建設業法の罰則の章(第8章・第45条〜第55条)には、第19条の3や第20条の違反そのものを罰する規定は無い(2026年10月28日に編集部が e-Gov の条文を検索して確認)
第47条は、第28条第3項による営業停止の処分に違反して建設業を営んだときを、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金としている

出典: e-Gov「建設業法」第19条の6・第20条第7項・第8項・第28条・第47条・第8章(罰則)、「建設業法施行令」第6条の2、「労務費に関する基準」本文。表記は原文から一部整理

基準の本文は、基準を著しく下回る見積り・契約について、建設業者には第28条による指導・監督を、発注者には第20条による勧告・公表を行うと整理しており、発注者への勧告は、通常必要と認められる費用の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の契約が対象になる。第28条第1項が除く規定に第19条の3第2項と第20条は入っていないため、これらに違反した建設業者は、第28条第1項の指示や、指示に従わないときの営業停止の対象になりうる〈推論〉。

基準の本文は、建設Gメンの調査について、当初の見積書と最終の見積書で労務費に差額がある場合や、労務単価が工種ごとの標準的な値と比べて著しく下回っている場合に原因者を把握し、歩掛や労務単価が標準的な値から著しく乖離している理由が、機械導入等の生産性向上(歩掛(必要人工)の減少)によるものか、労務単価の引き下げによるものか等を検証したうえで違法性の疑いを確認する、という流れを挙げ、これを「望ましい姿」としている。

「といったプロセスを経ることが望ましい姿として考えられる。」「労務費に関する基準」本文(第3章(2)⑤)

一方で本文は、こうした調査手法を確立するには、歩掛や労務単価が内訳明示された適正な見積書が作成され、そのすり合わせで価格が決まる商慣行の確立が前提として不可欠だとし、当面の建設Gメンの役割を次のように書いている。

「このため、建設Gメンは、法施行後当面の間は、上述の商慣行のサプライチェーン全体における定着に向け、労務費等を内訳明示した見積書の普及や、そのボトルネックの解消に向けた調査・助言に、重点的に取り組むことが求められる。」「労務費に関する基準」本文(第3章(2)⑤)

公共工事設計労務単価(令和8年3月から)と運転手(特殊)・(一般)

基準の本文によると、労務費の基準値は、労務単価(公共工事設計労務単価を適用)×歩掛の計算式で示すことを基本とし、やむを得ない場合は定性的な形で設定することも妨げない。国交省は2026年2月17日、令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価を発表した。単価は47都道府県・51職種別に決められ、全国全職種の平均値(加重平均)は25,834円である。平成25年度の改定から14年連続の引き上げで、初めて25,000円を超えた。次の表の金額は加重平均値、伸び率は単純平均値で算出されている(資料の注記)。

「公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていません。よって、下請代金に必要経費分を計上しない、又は下請代金から値引くことは不当行為です。」国土交通省 報道発表(令和8年2月17日)
全国
全職種
25,834円(令和7年3月比 +4.5%)
主要
12職種
24,095円(令和7年3月比 +4.2%)
運転手
(特殊)
29,442円(令和7年3月比 +4.8%)
運転手
(一般)
25,275円(令和7年3月比 +2.9%)
特殊
作業員
28,111円(令和7年3月比 +4.3%)
普通
作業員
23,605円(令和7年3月比 +3.0%)

出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料の資料1。金額は加重平均値、伸率は単純平均値。所定労働時間内8時間当たりの単価で、時間外・休日・深夜の割増賃金や、現場管理費(法定福利費(事業主負担分)など)・一般管理費等の諸経費は含まれていない

公共工事設計労務単価の全国全職種平均値の推移の棒グラフと、H25からR08までの単純平均の伸び率の表。グラフには「14年連続の上昇」と書かれている
公共工事設計労務単価の全国全職種平均値の推移(運転手(特殊)・(一般)だけの値ではない)出典: 「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(国土交通省)(PDFの3ページ)を働く車買取ナビ編集部が加工して作成

報道発表の資料は、職種の定義で、運転手(特殊)と運転手(一般)を次のように分けている。

運転手
(特殊)
重機械(主として大型特殊免許または労働安全衛生法第61条第1項の免許・資格・技能講習の修了を必要とし、運転と操作に熟練を要するもの)を運転・操作して行う作業
機械重量3t以上のブルドーザ・パワーショベル・バックホウ等による土砂等の掘削・積込み・運搬、吊上げ重量1t以上のクレーン装置付トラック・クローラクレーン等による資材等の運搬、杭打機、コンクリートポンプ車の運転(筒先作業は除く)など
運転手
(一般)
大型・中型・普通免許等を有し、資機材の運搬のための貨物自動車の運転、機械重量3t未満のホイール型のトラクタショベル・バックホウ等による掘削・積込み・運搬、吊上げ重量1t未満のホイールクレーン・クレーン装置付トラック等による資材等の運搬など
特殊
作業員
(参考)
機械重量3t未満のクローラ型のバックホウ等の軽機械(免許・技能講習を必要としないもの)の運転・操作を含む

出典: 同資料「調査対象職種の定義・作業内容」(14 運転手(特殊)・15 運転手(一般)・01 特殊作業員)。表記は原文から一部整理

令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価は、重機械の運転・操作を担う運転手(特殊)が全国平均29,442円、貨物自動車の運転などを担う運転手(一般)が25,275円で、いずれも8時間当たりの賃金に相当し、法定福利費の事業主負担分などは含まない。機械重量3t以上のバックホウを運転する技能者は、資料の定義では運転手(特殊)にあたる〈推論〉。都道府県ごとの単価は、次の表で確かめられる。

運転手(特殊)・(一般)の都道府県別の単価(47都道府県)を開く
北海道特殊 27,100円・一般 21,900円
青森県特殊 34,400円・一般 29,700円
岩手県特殊 33,600円・一般 26,900円
宮城県特殊 35,300円・一般 30,100円
秋田県特殊 33,200円・一般 30,400円
山形県特殊 31,300円・一般 27,000円
福島県特殊 30,200円・一般 25,800円
茨城県特殊 30,300円・一般 24,800円
栃木県特殊 27,900円・一般 26,400円
群馬県特殊 27,900円・一般 23,300円
埼玉県特殊 31,700円・一般 27,400円
千葉県特殊 30,800円・一般 27,200円
東京都特殊 31,100円・一般 25,600円
神奈川県特殊 32,200円・一般 27,200円
新潟県特殊 28,200円・一般 25,300円
富山県特殊 30,200円・一般 25,600円
石川県特殊 29,700円・一般 26,800円
福井県特殊 26,400円・一般 25,900円
山梨県特殊 31,300円・一般 26,800円
長野県特殊 27,700円・一般 24,000円
岐阜県特殊 31,200円・一般 26,500円
静岡県特殊 30,300円・一般 26,800円
愛知県特殊 30,600円・一般 27,200円
三重県特殊 30,200円・一般 26,200円
滋賀県特殊 27,400円・一般 24,800円
京都府特殊 26,000円・一般 23,800円
大阪府特殊 27,900円・一般 24,100円
兵庫県特殊 26,300円・一般 23,800円
奈良県特殊 27,100円・一般 24,400円
和歌山県特殊 25,400円・一般 23,700円
鳥取県特殊 21,600円・一般 19,600円
島根県特殊 23,700円・一般 20,000円
岡山県特殊 25,600円・一般 22,700円
広島県特殊 25,900円・一般 22,500円
山口県特殊 24,000円・一般 21,700円
徳島県特殊 24,300円・一般 23,500円
香川県特殊 26,300円・一般 24,800円
愛媛県特殊 26,400円・一般 24,000円
高知県特殊 26,800円・一般 24,500円
福岡県特殊 28,200円・一般 24,400円
佐賀県特殊 31,200円・一般 25,300円
長崎県特殊 26,700円・一般 23,500円
熊本県特殊 27,400円・一般 23,800円
大分県特殊 29,800円・一般 27,100円
宮崎県特殊 29,600円・一般 25,100円
鹿児島県特殊 32,700円・一般 28,700円
沖縄県特殊 32,400円・一般 28,700円

出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料の単価表(9ページ)。単位は円・所定労働時間内8時間当たり。表の値は、資料の表から列の位置で取り出し、別の方法で取り出した値と47都道府県すべてで一致することを確かめた

CCUSレベル別年収・自主宣言・経審の加点(令和8年度の取組)

第13回の資料1は、令和8年度の取組として、労務費等を内訳明示した見積書の商習慣化、「職人いきいき宣言」の拡大、コミットメント制度の普及、CCUSレベル別年収や労務費の基準値の普及を挙げ、加えて新しいフォローアップ調査と建設Gメンによる調査等を行うとした。このうちCCUSレベル別年収は、公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に考えられる年収を、職種別・ブロック別に算出したものである。

CCUS
レベル別
年収
(全国・
全分野)
レベル1:395~535万円以上、レベル2:444~599万円以上、レベル3:472~664万円以上、レベル4:572~754万円以上(標準値~目標値・令和8年4月改定)
目標値と
標準値
目標値以上の支払いを推奨し、標準値を下回る支払い状況の事業者は、請負契約で労務費ダンピングの恐れがないかを重点的に確認する
自主宣言
と経審
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無を、令和8年7月1日以降の申請から経営事項審査の項目に新設した
運用方針「労務費に関する基準」の運用方針は、令和7年12月に作られ、令和8年6月に最終改正された
計71の方針を示している

出典: 第13回 資料1。CCUSレベル別年収は公共事業労務費調査(令和7年10月調査)の結果をもとに、公共工事設計労務単価が賃金として支払われた場合に考えられる年収を職種別・ブロック別に算出したもの

「本資料に示す金額に法的拘束力はなく、支払いを義務付けるものではない。」第13回 資料1(CCUSレベル別年収(令和8年4月改定)の頁)

CCUSレベル別年収は、全国・全分野でレベル1の標準値が395万円、目標値が535万円以上などと示されているが、資料は、金額に法的拘束力はなく、支払いを義務付けるものではないと書いている。一方で資料は、標準値を下回る支払い状況の事業者について、請負契約で労務費ダンピングの恐れがないかを重点的に確認するとしており、技能者からの「賃金情報提供制度」は、令和9年1月頃の試行運用を目指すとしている。

労務費に関する基準の実効性確保のロードマップの図。入口での対策と出口での対策の取組を、R8.4・R9・R12~の時間の軸に沿って矢印で並べ、右の欄に中長期的に目指すべき将来像を書いている
第13回の資料1に載る、労務費に関する基準の実効性確保のロードマップ(今後の取組の予定と、中長期的に目指すべき将来像を示した図)出典: 「「労務費に関する基準」実効性確保策の取組状況」(国土交通省)(PDFの15ページ)を働く車買取ナビ編集部が加工して作成

立場ごとに確かめること

ここまでの条文と資料を、建設会社や重機を使う事業者の立場ごとに整理する。条文と資料の当てはめは編集部の整理で、個別の取引が違反に当たるかどうかは、許可行政庁や国交省の窓口で確かめる必要がある〈推論〉。

元請
(総合
工事業者)
下請から材料費等記載見積書を受け取ったとき、材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることになる変更を求めてはならない(第20条第6項・注文者として)
2026年度の下請取引等実態調査は、元請負人に「労務費に関する基準」を考慮しているかを尋ねる
下請
(専門
工事業者)
材料費等記載見積書の作成は努力義務
書いた材料費等の額が著しく下回ることは禁止(第20条第2項)
注文者から請求があれば契約の成立までに交付する(第4項)
自分の職種に基準値があるかは、ポータルサイトで確かめる
重機を
使う
事業者
資料の定義では、機械重量3t以上のバックホウ等を運転する技能者は運転手(特殊)、機械重量3t未満のホイール型のバックホウ等は運転手(一般)、機械重量3t未満のクローラ型のバックホウ等の軽機械は特殊作業員にあたる〈推論〉
労務費の差が機械導入等の生産性向上によるものかを建設Gメンが検証する流れは、基準の本文が「望ましい姿」として挙げたもので、本文は、法施行後当面の間は、内訳明示した見積書の普及やボトルネックの解消に向けた調査・助言に重点的に取り組むことが求められるとしている
一人親方・
小規模
事業者
基準の本文は、中小の建設業者や一人親方も含めて、労務費等を内訳明示した適正な見積書を作る商慣行が形成されるよう、取組を進めることが適切であるとしている
発注者
(施主)
第20条第6項に違反して変更させた見積書で、費用が500万円(建築一式工事は1,500万円)以上の契約を結ぶと、許可行政庁が勧告でき、従わないときはその旨を公表できる(第20条第7項・第8項)

出典: e-Gov「建設業法」第19条の3・第20条、「建設業法施行令」第6条の2、「労務費に関する基準」本文、第13回 資料2・資料3、労務費に関する基準ポータルサイト。表記は原文から一部整理

基準の本文は、価格の差が生産性向上によるものかを建設Gメンが見分ける調査を「望ましい姿」とし、法施行後当面の間は内訳明示した見積書の普及などに向けた調査・助言に重点的に取り組むことが求められるとしており、重機を使う事業者にとっては、まず見積書で労務費を内訳明示しておくことが、価格の差が機械導入等の生産性向上によるものだと説明する材料になる〈推論〉。基準の本文は、特に建築工事では、改正法の施行の時点で、材料費・労務費・機械損料・経費等が内訳明示されていない総価一式での取引が一般的な職種・工種が多いとして、専門工事業団体の標準見積書の見直し・作成などの取組を挙げている。

編集部の見方

第13回の資料と条文を照らし合わせる

133工種基準値を公表した工種(作業)(2026年10月まで)国土交通省
768事業者建設Gメンが指導、助言等をした事業者(令和7年度)国土交通省(法未施行の規定に係る指導を含む)

01

基準値のある職種はまだ一部

資料1によると、基準値は22職種分野133工種(作業)で公表され、建設業許可業種の全29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。ポータルサイトは、基準値の無い職種分野でも適正な労務費等を確保する必要性に変わりはないとする。

自分の職種・工種に基準値が無い事業者も、公共工事設計労務単価と自社の歩掛から労務費を説明できるようにしておく必要がある〈推論〉。基準の本文が示す適正な労務費の考え方は、労務単価に適正な歩掛を掛けて施工量を掛ける式で、基準値が無い職種にも当てはめられる形になっている〈推論〉。

02

指導の多くは見積りと契約書の不備

資料1は、建設Gメンが令和7年度に不適正な取引のおそれに対して行った指導等の主な内訳として、見積(内訳明示・条件提示不備等)641件、契約書(法定記載事項の不備等)516件、価格転嫁(金額変更に関する定めの不備等)193件などを挙げている。

指導の内訳の上位は見積と契約書の書き方に関わるもので、見積書の内訳や契約書の記載事項を整えることが、指導を避けるための最初の確認点になる〈推論〉。資料は、1社で複数の事項を指導した場合があるため、件数と事業者数は一致しないと注記している。

03

新しい調査の結果はこれから

資料3の新しい調査は、10月から令和9年1月にかけて行う予定とされている。資料2の日程では、入札契約の実施状況調査は12月、令和8年度の下請取引等実態調査は3月頃、見積書の内訳明示の状況の調査は4月以降に、結果を公表する予定である。対象の職種は、鉄筋・型枠・左官・内装から始め、調査の知見を踏まえて範囲の拡大を検討するとしている。

調査の結果が労務費WGに報告されれば、基準の見直しの議論の材料になるとみられ、重機の運転を主とする職種が対象に入るかは今後の資料で確かめる必要がある〈推論〉。第13回の審議の結果は、議事録が掲載されていないため、編集部では確認できていない(2026年10月28日時点)。

出典: 第13回 資料1〜3、「労務費に関する基準」本文、労務費に関する基準ポータルサイト(2026年10月28日に確認)。〈推論〉は編集部の整理で、国交省の資料の記述ではない

まとめ

  • 国土交通省は2026年10月5日、中央建設業審議会の労務費WGの第13回会合を開き、「労務費に関する基準」の実効性確保策の状況と新しい調査の案を示した。
  • 「労務費の基準値」は、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)で公表され、建設業許可の29業種のうち19業種の何らかの作業に対応している。
  • 2025年12月12日に施行された建設業法第20条第2項は、見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じている(改正法の附則により、施行日以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用)。
  • 第19条の3第2項は、正当な理由がある場合を除き、建設業者が通常必要と認められる原価に満たない金額で請け負う契約を禁じている(施行日より前に締結された請負契約には適用しない)。
  • 令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価は、運転手(特殊)の全国平均値が29,442円、運転手(一般)が25,275円である。
  • 第13回の議事録は2026年10月28日時点で掲載されておらず、審議の結果は編集部では確認できていない。

よくある質問

標準労務費とは何ですか?

2023年9月19日の基本問題小委員会の中間とりまとめが、適正な工事のために計上されるべき労務費を「標準労務費」として中央建設業審議会から勧告すべきだと提言したものです。その後、2024年の法改正で中央建設業審議会が労務費に関する基準を作成・勧告できることになり、2025年12月2日に「労務費に関する基準」が作成・勧告されました。検索で「標準労務費」と呼ばれているのは、この基準を指すとみられます〈推論〉。

標準労務費はいつから?

「労務費に関する基準」は、2025年12月2日に中央建設業審議会で作成され、その実施が勧告されました。見積書の材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることを禁じる建設業法第20条第2項など(基準の本文は、基準を、同条に規定する「通常必要と認められる労務費」の相場観として機能させるとしています)は、e-Gov の法令の版によると2025年12月12日に施行されています。改正法の附則によると、改正後の第20条は施行日以後に材料費等記載見積書を交付する場合に適用され、第19条の3第2項は施行日より前に締結された請負契約には適用されません。基準値は職種分野ごとに順次公表されており、2026年10月までに22職種分野133工種(作業)が出ています。

労務費の基準値はどこで見られますか?

国土交通省の「労務費に関する基準ポータルサイト」で、職種分野・都道府県・地図・フリーワードから探せます。基準値は、標準的な作業内容・施工条件等を前提とした場合の「単位施工量当たり労務費」で、個別の契約では、受注者が現場ごとに基準値を踏まえて労務費等を見積もる必要があるとされています。基準値には法定福利費の事業主負担分などの必要経費は含まれていません。

設計労務単価の運転手(特殊)はいくらですか?

令和8年3月から適用の公共工事設計労務単価で、運転手(特殊)の全国平均値は29,442円、運転手(一般)は25,275円です(金額は加重平均値、伸び率は単純平均値)。単価は所定労働時間内8時間当たりで、時間外・休日・深夜の割増賃金や、法定福利費の事業主負担分などの諸経費は含まれていません。都道府県ごとの単価は、記事の表と国交省の資料で確かめられます。

見積書に労務費を書かないと法律違反ですか?

建設業法第20条第1項は、材料費・労務費などを記載した見積書(材料費等記載見積書)を作るよう「努めなければならない」と定めており、作成は努力義務です。一方で、特に公共工事では、入札の段階で入札金額内訳書に材料費・労務費等の経費を内訳明示することが義務化されています(基準の本文が挙げる入契適正化法第12条)。また、見積書に書く材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ることは、建設業法第20条第2項で禁じられています。注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに見積書を交付しなければなりません(建設業法第20条第4項)。

第13回の会合で何が決まりましたか?

議事次第によると、第13回は実効性確保策の状況と既存調査の改定を【報告】、新規調査の実施を【審議】とした会合です。新規調査の案は、鉄筋・型枠の見積りの調査、工事を選んで労務費の行き渡りの阻害要因を聞き取る調査、左官・内装の賃金の支払い状況の調査の3つでした。第13回の議事録は2026年10月28日に編集部が確認した時点で掲載されておらず、審議の結果は確認できていません。

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編集部

働く車買取ナビ編集部

トラック・重機・商用車の買取相場と、持ち主に関わる制度・業界の出来事を伝えています。運営: 奥義合同会社(運営者情報)

事実は、国の発表・法令・メーカーの公式発表の原文に当たって書いています。

関連するニュース

出典と参考資料

  1. 国土交通省「中央建設業審議会:労務費の基準に関するワーキンググループ」 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s504_roumuhikijun01.html
  2. 国土交通省 報道発表「中央建設業審議会 労務費の基準に関するワーキンググループ(第13回)の開催」令和8年9月29日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00381.html
  3. 国土交通省「第13回労務費の基準に関するWG 配布資料」(議事次第・資料1〜3) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tochi_fudousan_kensetsugyo13_sg_000001_00083.html
  4. 国土交通省「建設・不動産業:労務費に関する基準」 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk1_000001_00044.html
  5. 中央建設業審議会「労務費に関する基準」令和7年12月2日決定(本文・PDF) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001971712.pdf
  6. 基本問題小委員会「中間とりまとめ」令和5年9月19日(PDF) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001631030.pdf
  7. e-Gov 法令検索「建設業法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
  8. e-Gov 法令検索「建設業法施行令」 https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273
  9. 国土交通省 報道発表「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」令和8年2月17日 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00337.html
  10. 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」報道発表資料(PDF) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001981942.pdf
  11. 国土交通省「労務費に関する基準ポータルサイト」 https://roumuhi.mlit.go.jp/

アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)

訂正・追記

  •  本文に、国土交通省の資料の図(公共工事設計労務単価の推移と、労務費に関する基準の実効性確保のロードマップ・出典つき)を追加しました。
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