建設・土木 公開 更新
大成建設・鹿島建設に営業停止120日(11月7日〜)
下請・発注者・指名停止への影響
国土交通省関東地方整備局は2026年10月23日、大成建設と鹿島建設に対し、建設業法に基づく営業の停止を命じた。期間は11月7日から2027年3月6日までの120日間で、範囲は全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業である。リニア中央新幹線のターミナル駅の新設工事をめぐる独占禁止法違反で、両社と元社員の刑が9月19日に確定したことが理由とされている。この記事では、停止の範囲を決める「民間工事」の定義、施工中の工事の注文者への通知と契約の解除、両社と下請契約を結ぶ側の定め、発注者ごとの指名停止と経営事項審査との関係を、建設業法の条文と国の基準から整理する。
この記事のポイント
- 11月7日から120日間停止は2027年3月6日まで続く。関東地方整備局が10月23日に発表した。
- 対象は土木工事業の民間工事範囲は全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業である。国・自治体などが発注する工事は、民間工事に含まれない。
- 施工中の工事は続けられる停止の範囲(民間の土木一式工事)では、新しい請負契約と、それに関連する入札・見積り・交渉などが行えなくなる。処分を受ける前に締結された請負契約の工事は施工でき、両社は処分を受けた後2週間以内に注文者に通知する(建設業法第29条の3)。
マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。
何が決まったのか
国土交通省関東地方整備局は10月23日、大成建設と鹿島建設に対する監督処分を発表した。処分の内容は、建設業法第28条第3項に基づく営業の停止命令である。
「関東地方整備局は、鹿島建設株式会社及び大成建設株式会社に対し、建設業法に基づく監督処分を行いました。」関東地方整備局 記者発表(2026年10月23日)
| 処分の種類 | 建設業法第28条 |
|---|---|
| 対象 | 鹿島建設株式会社 大成建設株式会社 |
| 停止の範囲 | 「全国における |
| 期間 | 「令和8年11月7日から |
出典: 関東地方整備局「建設業者に対する監督処分について」(2026年10月23日)
停止の期間は2026年11月7日から2027年3月6日までの120日間で、範囲は全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業に限られている。範囲の言葉には、発表の中に注記が付いている。それによると、「土木工事業に関する営業」は土木一式工事を請け負う営業を指し、「民間工事」は国・地方公共団体・公共法人などが発注者となる工事を除いた工事を指す。
「「土木工事業に関する営業」とは、注文者から土木一式工事を請け負う営業をいう。」同 処分内容の注1
- 2021.3.1両社が罰金刑、元社員が懲役刑の判決独占禁止法違反
- 2026.9.19刑が確定
- 10.23関東地方整備局が監督処分を発表
- 11.7営業停止が始まる120日間
- 2027.3.6営業停止の期間が終わる
なぜ処分されたのか
発表によると、処分の理由は、リニア中央新幹線のターミナル駅の新設工事をめぐる独占禁止法違反で、両社と元社員の刑が2026年9月19日に確定したことである。両社と元社員は、東海旅客鉄道(JR東海)が発注したリニア中央新幹線(品川駅・名古屋駅間)の地下開削工法によるターミナル駅の新設工事について、受注をめぐる競争を実質的に制限したとして、2021年3月1日に判決を受けた。両社には罰金刑、元社員には懲役刑が言い渡された(要約)。
「このことが、建設業法第28条第1項第2号及び第3号に該当すると認められる。」関東地方整備局 記者発表 処分理由
建設業法第28条第1項は、国土交通大臣などが建設業者に指示を出せる場合を号ごとに挙げている。今回の処分では、このうち第2号と第3号が当てはめられた。
| 第2号 | 「建設業者が |
|---|---|
| 第3号 | 建設業者 |
同じ条の第3項は、第1項の各号に当たるときに「一年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。」と定めており、今回の処分はこのうち営業の「一部」の停止にあたる。停止の範囲は、土木工事業の民間工事に限られた。
出典: 建設業法 第28条(e-Gov 法令検索)
止まること・続けられること
営業停止の期間中に何ができなくなるかは、国土交通省が定めた「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」に書かれている。
「営業停止処分により停止を命ずる行為は、請負契約の締結及び入札、見積り等これに付随する行為とする。」監督処分の基準 二の6
基準の別表は、停止期間中に行えない行為と、行える行為を具体的に挙げている。
停止期間中は行えない
- 新たな建設工事の請負契約の締結(仮契約等に基づく本契約の締結を含む)
- 処分を受ける前に締結された請負契約の変更で、工事の追加に係るもの(工事の施工上特に必要があると認められるものを除く)
- 前の2つと、営業停止期間の満了後における新たな建設工事の請負契約の締結に関連する入札、見積り、交渉等
- 業種の限定が付いた停止では、その業種に係る上の3つの行為
- 公共工事またはそれ以外の工事に係る限定が付いた停止では、その工事に係る上の3つの行為
停止期間中でも行える
- 建設業の許可、経営事項審査、入札の参加資格審査の申請
- 処分を受ける前に締結された請負契約に基づく建設工事の施工
- 施工の瑕疵に基づく修繕工事等の施工
- アフターサービス保証に基づく修繕工事等の施工
- 災害時における緊急を要する建設工事の施工
- 請負代金等の請求、受領、支払い等
- 企業運営上必要な資金の借入れ等
出典: 国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」別表(地域の限定に関する1項目は略。表記は原文から括弧と句読点を一部整理)。今回の停止は業種(土木工事業)と民間工事に限られているため、「行えない行為」も民間が発注する土木一式工事に係るものになる
処分の前に結んだ契約の工事は停止期間中も施工でき、行えなくなるのは新しい請負契約の締結と、それに関連する入札・見積り・交渉などである。契約済みの工事の追加変更は、工事の施工上とくに必要と認められるものを除いて行えない。
施工中の工事と注文者への通知(第29条の3)
処分の前に結んだ契約の工事を続けられるという定めは、建設業法の条文にもある。第29条の3第1項は、第28条第3項の規定で営業の停止を命じられた者について、次のように定めている。
「当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。」建設業法 第29条の3第1項
同じ項は続けて、処分を受けた者に、処分を受けた後の通知を求めている。
「当該処分を受けた後、二週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければならない。」建設業法 第29条の3第1項
注文者の側には、契約を解除できる期間の定めがある。
「建設工事の注文者は、第一項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する許可がその効力を失つたこと、若しくは処分があつたことを知つた日から三十日以内に限り、その建設工事の請負契約を解除することができる。」建設業法 第29条の3第5項
営業停止を命じられた建設業者は、処分を受ける前に締結された請負契約の工事に限り施工することができ、処分を受けた後2週間以内に注文者に通知し、注文者は通知を受けた日などから30日以内に限り契約を解除できる。同じ条の第3項は、公益上必要があると認めるときは、国土交通大臣か都道府県知事が施工の差止めを命じることができるとしている。今回のように範囲を限った一部の停止で、どの工事の注文者に通知が要るか、また条文の「処分を受ける前」が処分が発表された10月23日と停止が始まる11月7日のどちらを基準にするのか(10月23日から11月6日までに結ぶ契約の扱い)は、条文と関東地方整備局の発表のどちらにも書かれておらず、編集部では確認できていない。
出典: 建設業法 第29条の3(e-Gov 法令検索・2026年10月27日取得)
「民間工事」から外れる発注者
停止の範囲を決める「民間工事」は、処分の注2で、発注者を基準に定義されている。
「「民間工事」とは、国、地方公共団体、法人税法(昭和40年法律第34号)別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)又は建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第18条に規定する法人が発注者である建設工事以外の建設工事をいう。」関東地方整備局 処分内容の注2
注2が挙げる2つの一覧には、具体的な法人の名前が並んでいる。主なものを、建設・土木の工事を発注しうる法人から抜き出すと次のとおりである。
| 注2の本文 | 国、 |
|---|---|
| 法人税法 別表第一 | 地方 |
| 建設業法 施行規則 第18条 | 東日本高速道路、 |
出典: 法人税法 別表第一・建設業法施行規則 第18条(e-Gov 法令検索・2026年10月27日取得)。表は名前の一部。全文は出典の条文で確かめられる
注2の定義に当てはめると、高速道路会社や東京地下鉄、土地区画整理組合などが発注する工事は「民間工事」に当たらず、今回の停止の範囲の外になる〈推論〉。一方で、2つの一覧には、東日本・東海・西日本の各旅客鉄道の名前は入っていない(編集部が2026年10月27日に条文を確認)。注2の定義に当てはめると、これらの会社や、一覧に名前の無い民間の会社が発注する土木一式工事は「民間工事」に当たり、11月7日から120日間は両社が新たな請負契約を結べない範囲に入ると読める〈推論〉。処分の理由になったリニア中央新幹線の発注者である東海旅客鉄道も、この「民間工事」の発注者に当たる〈推論〉。
両社に下請を出す側が知っておくこと
建設業法は、営業停止を命じられた者などと下請契約を結ぶ側についても定めを置いている。第28条第1項第8号は、事情を知りながら、停止されている営業の範囲に係る下請契約を結んだ建設業者を、指示の対象にしている。同じ条の第3項により、こうした建設業者も営業停止の対象になりうる。
「建設業者が、情を知つて、第三項の規定により営業の停止を命ぜられている者又は第二十九条の四第一項の規定により営業を禁止されている者と当該停止され、又は禁止されている営業の範囲に係る下請契約を締結したとき。」建設業法 第28条第1項第8号
国の監督処分の基準には、この場合の営業停止の期間の目安もある。
「建設業者が、情を知って、建設業法第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者、営業停止処分を受けた者等と下請契約を締結したときは、7日以上の営業停止処分を行うこととする。」監督処分の基準 三の2(2)⑥
今回の停止の範囲は全国の土木工事業のうち民間工事であるため、11月7日から120日間、この範囲の工事を事情を知ったうえで両社に下請として発注すると、第8号に当たる可能性があり、基準では7日以上の営業停止処分を行うこととされている。基準は同時に、三の1(1)で、個々の監督処分を行うに当たっては、情状により、必要な加重又は減軽を行うことを妨げないとしている。一方で、公共工事や、土木一式工事以外の業種の工事は、今回の処分の範囲に入っていない。第8号が挙げる「営業を禁止されている者」は第29条の4の定めで、同条は、営業の停止を命じる場合に、法人の役員等と、処分の原因になった事実に相当の責任がある政令で定める使用人(処分の日前60日以内にそうであった者を含む)に対し、停止の範囲の営業について同じ期間、新たに営業を始めること(その営業を目的とする法人の役員等になることを含む)を禁止しなければならないとしている。関東地方整備局の発表(2026年10月23日)には、役員等に対する営業の禁止についての記載はない。
出典: 建設業法 第28条・第29条の4(e-Gov 法令検索)、国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」
指名停止と経営事項審査
営業停止は、建設業法第28条に基づいて、許可を出した国土交通大臣か都道府県知事(第3項)、または営業が行われている区域の都道府県知事(第5項)が命じる処分で、今回は、建設業法第44条の3と同法施行規則第30条による国土交通大臣の権限の委任を受けた関東地方整備局長が、第3項に基づいて命じた。これとは別に、公共工事の発注者は、指名停止の措置要領に基づいて、工事を受注させるのにふさわしくない業者を一定の期間、指名の対象から外す「指名停止」を行う。中央公共工事契約制度運用連絡協議会が採択した措置要領のモデル(最終改正 令和2年12月25日)は、指名停止を次のように定めている。
「部局長が指名停止を行ったときは、所属担当者(注4)は、工事の請負契約のため指名を行うに際し、当該指名停止に係る有資格業者を指名してはならない。」工事請負契約に係る指名停止等の措置要領(中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル)第1
| 部局長 | 国の |
|---|---|
| 第5号 独占禁止法 違反行為 | 部局が |
| 第6号 独占禁止法 違反行為 | 部局や |
| 第7号 独占禁止法 違反行為 | 部局が |
| 第12号 重大な 独占禁止法 違反行為等 | 機関の |
| 第13号 建設業法 違反行為 | 部局が |
| 第16号 不正又は 不誠実な行為 | 別表第1と |
出典: 国土交通省掲載「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領 中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」第1・注1・別表第2(第5号〜第7号・第12号・第13号・第16号を抜き出し、条件の文は要約。第1号〜第4号は贈賄の容疑による逮捕・公訴、第8号〜第11号は競売入札妨害又は談合の容疑による逮捕・公訴、第14号は担当者が結んだ契約の工事での建設業法違反、第15号は不正又は不誠実な行為)
指名停止を行うかどうかと期間は、発注者ごとの措置要領で決まり、営業停止の範囲(民間工事)とは別に判断される。今回の監督処分の理由は、独占禁止法違反の刑の確定が建設業法第28条第1項第2号・第3号に当たるとされたことで、建設業法の規定への違反は理由に挙げられていない。モデルの別表には独占禁止法違反の号も建設業法違反の号もあり、どの号を当てるか(当てるかどうかを含む)は、それぞれの発注者が判断する。この記事の更新時点(2026年10月27日)で、編集部は、今回の監督処分を受けた個別の発注者の指名停止の発表を確かめていない。
国土交通省の「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年7月1日施行の全文)は、冒頭で経営事項審査を「公共工事の発注における企業評価の物差し」と位置づけ、法令遵守の状況の項目を次のように定めている。
「法令遵守の状況については、審査対象年に建設業法第28条の規定により指示をされ、又は営業の全部若しくは一部の停止を命ぜられたことがある場合に、減点して審査するものとする。」国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」
今回の停止は民間工事に限った一部の停止だが、取扱いの文言は「全部若しくは一部の停止」で、停止の範囲が民間工事であっても、経営事項審査の法令遵守の状況の項目には関わる〈推論〉。どの審査基準日の経営事項審査に、どの幅で反映されるかは、この記事では扱っていない。
立場ごとに確かめること
ここまでの条文と基準を、両社と取引のある立場ごとに並べると次のようになる。
| 民間の 発注者 施工中 | 処分を |
|---|---|
| 民間の 発注者 これから | 土木一式工事の |
| 両社に 下請を出す 元請 | 範囲の |
| 両社から 仕事を 受ける側 | 第28条・ |
| 公共の 発注者 | 今回の |
出典: 関東地方整備局「建設業者に対する監督処分について」、建設業法 第28条・第29条の3・第29条の4、国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」、指名停止等の措置要領(モデル)をもとに編集部が整理
新しい契約が止まるのは民間が発注する土木一式工事に限られ、処分前の契約の工事・公共工事・ほかの業種の工事は、今回の停止の範囲に入っていない。ただし、民間の土木一式工事で、11月7日から120日間に両社が新たに受注する予定だった工事については、その下請や、重機・ダンプなどの手配の時期が後ろにずれる可能性がある〈推論〉。
編集部の見方
停止の期間と範囲を、国の監督処分の基準と照らし合わせて整理する
01
基準が定める営業停止の期間
国の監督処分の基準は、独占禁止法違反や談合・贈賄など、業務に関する違反について営業停止の期間の目安を定めている。代表権のある役員が刑に処せられた場合は1年間、その他の場合は60日以上とされている。その他の場合のうち、代表権のない役員または政令で定める使用人が刑に処せられたときは120日以上、独占禁止法に基づく排除措置命令または課徴金納付命令が確定した場合は30日以上となる。
談合・独占禁止法違反などの営業停止の期間(基準の目安)
出典: 国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」三の2(1)。「以上」は下限。棒の長さは1年(365日)に対する割合
今回の120日が基準のどの項目を当てはめたものかは、処分の発表には書かれていない。発表には、両社に罰金刑、元社員に懲役刑の判決が出され、その刑が確定した経緯が記されている。
02
停止の範囲を業種と発注者で分ける
停止の範囲を、業種(土木一式工事かそれ以外か)と発注者(民間か、国・自治体などか)の2つの軸で分けると、次の図のようになる。停止の対象になるのは、4つの区分のうち1つである。
「範囲の外」は今回の処分の範囲に入っていないという意味。「国・自治体など」には、処分の注2が挙げる公共法人と建設業法施行規則第18条の法人を含む。発注者ごとの指名停止は、この図では扱わない
停止の対象は、民間が発注する土木一式工事の新しい請負契約と、それに関連する入札・見積り・交渉などである。処分前に結んだ契約の工事は、建設業法第29条の3と基準の別表で続けられるとされており、11月7日を境に、施工中の現場で重機やダンプの稼働が一律に止まるものではないとみられる〈推論〉。
03
今後の日程と、基準の加重の定め
停止は11月7日に始まり、2027年3月6日に終わる。基準には、独占禁止法第3条違反に係る営業停止を受けた建設業者が、期間の満了から10年を経過するまでの間に同じ種類の事由に当たった場合、期間を2倍に加重し、1年を超えない範囲で処分するという定めもある。
この処分が両社の受注や、土木の現場で使われる重機・車両の需要にどう影響するかを示すデータは、編集部では確認できていない。働く車買取ナビでは、停止が始まる11月7日と、終わる2027年3月6日に合わせて、続報で整理する。
出典: 国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」三の2(1)・別表/関東地方整備局「建設業者に対する監督処分について」(2026年10月23日)
まとめ
- 関東地方整備局は2026年10月23日、大成建設と鹿島建設に建設業法第28条第3項に基づく営業の停止を命じた。
- 停止の期間は11月7日から2027年3月6日までの120日間で、範囲は全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業である。
- 処分の理由はリニア中央新幹線のターミナル駅の新設工事をめぐる独占禁止法違反で、刑は9月19日に確定した。
- 停止期間中は新しい請負契約や入札・見積り・交渉などができなくなる。処分前の契約に基づく工事は続けられる。
- 停止の範囲の工事を、事情を知りながら両社に下請として発注すると、建設業法第28条第1項第8号に当たる可能性があり、国の基準では7日以上の営業停止処分を行うこととされている(情状による加重・減軽を妨げない)。
- 両社は処分を受けた後2週間以内に施工中の工事の注文者に通知し、注文者は通知を受けた日などから30日以内に限り契約を解除できる(建設業法第29条の3)。
- 処分の注2に当てはめると、高速道路会社や東京地下鉄、土地区画整理組合などが発注する工事は「民間工事」に当たらず、停止の範囲の外になる〈推論〉。公共工事の指名停止は、発注者ごとの措置要領で別に決まる。
よくある質問
大成建設・鹿島建設の営業停止はいつからいつまで?
2026年11月7日から2027年3月6日までの120日間です。国土交通省関東地方整備局が、2026年10月23日に処分を発表しました。停止の範囲は全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業で、両社の営業がすべて止まるわけではありません。
鹿島建設の「業務停止命令」は、建設業法では何にあたる?
今回の処分は、建設業法第28条第3項に基づく「営業の停止命令」です。同じ項は、一年以内の期間を定めて営業の全部か一部の停止を命じることができると定めており、今回はそのうち一部の停止にあたります。停止の範囲は、全国の土木工事業のうち民間工事に係る営業です。
なぜ営業停止になったの?
リニア中央新幹線(品川駅・名古屋駅間)のターミナル駅の新設工事をめぐる独占禁止法違反が理由です。両社と元社員は2021年3月1日に判決を受け、両社には罰金刑、元社員には懲役刑が言い渡されました。この刑が2026年9月19日に確定し、関東地方整備局は建設業法第28条第1項第2号・第3号に当たると判断しました。
公共工事や高速道路会社の工事も止まるの?
国・地方公共団体が発注する公共工事は、処分の注2で「民間工事」から除かれているため、今回の停止の範囲に入りません。注2は法人税法別表第一の公共法人と建設業法施行規則第18条の法人の発注も除いており、東日本・中日本・西日本高速道路や首都高速道路、東京地下鉄などは第18条に名前があるため、これらの発注も範囲の外になると読めます〈推論〉。公共工事の指名停止は、この処分とは別に、発注者ごとの措置要領で決まります。
いま進んでいる工事や現場は止まるの?
処分の前に結んだ契約に基づく工事は、停止期間中も施工できます。建設業法第29条の3は、処分を受ける前に締結された請負契約に係る工事に限り施工できるとし、処分を受けた後2週間以内に注文者へ通知することを求めています。注文者は、通知を受けた日などから30日以内に限り、その契約を解除できます。ただし、公益上必要があると認めるときは、施工の差止めを命じられることがあります(同条第3項)。
両社に工事を下請けに出している会社は、何に注意すればいい?
処分の前に結んだ下請契約に基づく工事は、国の監督処分の基準で、停止期間中も施工を続けられる行為に挙がっています。一方、11月7日から120日間に、停止されている範囲(全国の土木工事業のうち民間工事)の工事について、事情を知りながら両社と新たに下請契約を結ぶ場合は、建設業法第28条第1項第8号に当たる可能性があります。国の基準は、こうした下請契約を結んだ建設業者に7日以上の営業停止処分を行うとし、あわせて、情状により必要な加重又は減軽を行うことを妨げないとしています。
営業停止と指名停止は何が違うの?
営業停止は、建設業法第28条に基づいて国土交通大臣か都道府県知事が命じる処分で、今回は、建設業法第44条の3と同法施行規則第30条による国土交通大臣の権限の委任を受けた関東地方整備局長が、第3項に基づいて命じました。指名停止は、公共工事の発注者が、指名停止の措置要領に基づいて、その業者を一定の期間、工事の指名の対象から外す措置です。中央公共工事契約制度運用連絡協議会の措置要領のモデルは、独占禁止法違反行為・重大な独占禁止法違反行為等・建設業法違反行為などの号ごとに期間を定めており、どの号を当てるか(当てるかどうかを含む)は発注者が判断します。
営業停止は経営事項審査(経審)に影響する?
国土交通省の「経営事項審査の事務取扱いについて」は、審査対象年に建設業法第28条の規定で営業の全部か一部の停止を命じられたことがある場合に、法令遵守の状況の項目で減点して審査するとしています。今回の停止は民間工事に限った一部の停止ですが、取扱いの文言は「全部若しくは一部の停止」です。どの審査基準日の経審に、どの幅で反映されるかは、この記事では扱っていません。
営業停止の期間はいつ終わるの?
停止の期間は2027年3月6日までです。停止期間中も、処分の前に結んだ契約に基づく工事の施工や、建設業の許可・経営事項審査などの申請は行えます。働く車買取ナビでは、停止の始まりと終わりに合わせて続報を出します。
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出典と参考資料
- 国土交通省関東地方整備局「建設業者に対する監督処分について」2026年10月23日 https://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kisha_03814.pdf
- 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第28条(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100
- 国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881852.pdf
- 建設業法施行規則(昭和二十四年建設省令第十四号)第18条(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014
- 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034
- 国土交通省掲載「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領 中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル」(最終改正 令和2年12月25日) https://www.mlit.go.jp/common/001385963.pdf
- 国土交通省「経営事項審査の事務取扱いについて」(令和8年7月1日施行・全文) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001982607.pdf
アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)
訂正・追記
- 施工中の工事の注文者への通知と契約の解除(建設業法第29条の3)、「民間工事」から外れる発注者、下請契約の基準、指名停止と経営事項審査、立場ごとに確かめることを追記しました。


