法令・制度 公開
トラック新法はいつから?
白トラ委託の禁止は2026年4月、許可更新制と適正原価は日付未定
無許可・無届の業者(いわゆる白トラ)に運送を委託することの禁止と、元請けとして引き受けた運送の再委託を2次までに抑える努力義務は、2026年(令和8年)4月1日に施行された。一般貨物自動車運送事業などの許可の5年ごとの更新制と、国土交通大臣が定める適正原価を下回る運賃・料金の制限は、公布の日(2025年6月11日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行され、その日は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ)では決まっていない。いま一般貨物の許可を持っている会社は、施行日に新しい法律の許可を受けたものとみなされ、最初の更新は、施行日から2年を経過した日から7年を経過する日までの間で国土交通省令が定める日までに受ける。この記事では、通称「トラック新法」が指す2つの法律を条文で確かめ、何が変わるか、自社に当たるか、更新を受けられない場合、事業をやめる・譲るときの手続きを順に整理する。
この記事のポイント
- 2026年4月1日から白トラへの委託の禁止何人も、許可を受けずに一般貨物自動車運送事業を経営する者などに、貨物の運送(自動車を使わずに運送させる契約によるものを除く)を委託してはならず、違反すると100万円以下の罰金の対象になる。一般貨物自動車運送事業者は、真荷主から引き受けた運送を他の運送会社に頼むとき、2以上の段階にわたる委託を制限する措置を講ずるよう努める(努力義務)。
- 更新制と適正原価は2028年6月までの政令の日から一般・特定貨物自動車運送事業の許可の5年ごとの更新制と、国土交通大臣が告示する適正原価を下回らない運賃・料金の義務は、公布の日から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行され、その日は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ)では決まっていない。国土交通省の資料は「令和10年 6月まで トラック適正化2法 全面施行予定」と書いている。
- いまの許可は施行から2年〜7年の間で最初の更新施行の際に一般・特定貨物自動車運送事業の許可を受けている者は、施行日に新しい法律の許可を受けたものとみなされ、最初の更新は、そのみなされた日から起算して2年を経過した日から7年を経過する日までの間で国土交通省令が定める日までに受ける(改正法の附則第4条)。期限を定める国土交通省令は、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(国土交通省「トラック適正化二法について」のページ・e-Gov 法令検索の改正後の条文)では確認できていない。
マーカーを引いた文を節ごとに拾い読みするだけでも、要点が分かるように書いています。
トラック運送の許可に更新制が入り、国が定める原価を下回る運賃が制限される。2025年に国会で成立した2つの法律は「トラック新法」という呼び名で調べられていて、Google の検索候補には「トラック新法 いつから」「トラック新法 2028年」が出る(編集部が2026年11月7日に確認)。この記事では、2つの法律の正式な名前と施行日を条文と国土交通省の資料で確かめ、数台から数十台のトラックを持つ運送会社が判断に使う点(許可の更新・下請けの使い方・白ナンバーへの委託・事業を続けるか譲るか)を、条文の言葉をできるだけ言い換えてわかりやすく整理する。
トラック新法とは?(貨物自動車運送事業法の改正・令和7年法律第60号と第61号)
トラック新法とは、2025年(令和7年)6月4日に成立し6月11日に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第60号)と「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和7年法律第61号)を指す通称で、国土交通省はこの2つを「トラック適正化二法」と呼んでいる。「トラック新法」は法律の名前ではないため、この記事では国土交通省の呼び方に合わせて2つの法律を指すものとして扱う。
どちらも衆議院の国土交通委員長が提出した法律案(衆法第33号・第34号)で、参議院の議案情報によると、衆議院が2025年5月27日に、参議院が6月4日に可決した。国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」は、2つの関係を「トラックドライバーの適切な賃金の確保とトラック運送業界の質の向上等を目的として、貨物自動車運送事業法を改正するとともに、それを担保するための新法を制定」したと説明している。
| 法律 | 中身と施行 |
|---|---|
| 令和7年 法律第60号 貨物自動車 運送事業法の 一部を改正する法律 | 許可の更新制・ |
| 令和7年 法律第61号 適正化のための 体制の整備等の 推進に関する法律 | 更新の事務を行う |
出典: 参議院「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律案」(議案審議情報)、e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和七年法律第六十一号)。表の欄は編集部の要約
運送会社の実務が変わる規定(更新制・適正原価・委託次数の制限・白トラへの委託の禁止)は、第60号の改正法に入っている。第61号は、更新の事務の一部と事業の適正化の支援を1つの独立行政法人に行わせる体制を整えることなどを基本方針として定め、附則で「この法律は、公布の日から施行する。」としている。
トラック新法はいつから?(2026年4月1日の施行分と、2028年6月までに政令で定める日の施行分)
白トラへの運送の委託の禁止と委託次数の制限の努力義務は2026年4月1日(令和8年)に施行され、許可の更新制と適正原価の規定は、公布の日(2025年6月11日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行され、その日は、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov の改正履歴・国土交通省のページ)では決まっていない。改正法の附則第1条は、本則を「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」とし、白トラや委託次数を定める第1条の規定などを、公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日から施行するとしている。
| 施行日 | 主な規定 |
|---|---|
| 2025年 6月11日 公布の日 | 令和7年法律第61号の全部 |
| 2026年 4月1日 | 白トラへの |
| 政令で 定める日 2028年6月まで・ 未定 | 許可の更新制 |
出典: 国土交通省「トラック適正化二法について」、e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」(令和七年法律第六十号による改正後・未施行の版と改正履歴)。2026年11月7日に確認

2028年6月という上限は、公布の日(2025年6月11日)から3年の範囲を数えたものである。国土交通省が2026年7月の有識者検討会に出した資料も、年表の中で「令和10年 6月まで トラック適正化2法 全面施行予定」と書いている。e-Gov 法令検索の改正履歴は、未施行の版の施行日の欄を2028年6月10日としているが、同じ記録の注記は「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」のままで、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ)では、施行日を定める政令は出ていない。国土交通省のページが条文を載せている政令・省令(令和7年政令第391号・令和8年国土交通省令第13号)は「公布後1年以内施行関係」のもので、編集部はその中身を開いていない。
国土交通省の改正法Q&A(令和8年3月31日時点)も、「その他の規定(許可更新及び適正原価に係る規定)については、トラック適正化2法の公布(※)から3年以内に施行される予定です。」と答えている。
トラック新法で何が変わる?(更新制・適正原価・委託次数の制限・白トラへの委託の禁止)
トラック新法では主に次の点が変わり、すでに施行された白トラへの委託の禁止と委託次数の制限の努力義務に、政令で定める日から許可の5年ごとの更新制と適正原価を下回る運賃・料金の制限が加わる。条番号は改正後の貨物自動車運送事業法のものである。
- 白トラへの委託の禁止(第65条の2・2026年4月1日施行): 許可を受けずに一般貨物自動車運送事業を経営する者、許可を受けずに特定貨物自動車運送事業を経営する者、届出をせずに貨物軽自動車運送事業を経営する者に、貨物の運送(自動車を使わずに運送させる契約によるものを除く)を委託してはならない。違反した者は100万円以下の罰金の対象になる(第75条第14号)
- 荷主等への要請・勧告・公表(本法の附則第1条の2の2・2026年4月1日施行): 国土交通大臣は、当分の間、荷主等が無許可の経営の原因となるおそれのある行為をしているおそれがあると認めるときは、しないよう要請することができ、疑うに足りる相当な理由があると認めるときは勧告することができ、勧告したときはその旨を公表する
- 委託次数の制限(第23条の4・2026年4月1日施行): 一般貨物自動車運送事業者は、真荷主から引き受けた運送を他の運送会社に頼むとき、2以上の段階にわたる委託を制限する措置を講ずるよう努める
- 許可の更新制(第6条の2・政令で定める日に施行): 一般貨物自動車運送事業の許可は5年ごとに更新を受ける。特定貨物自動車運送事業の許可も同じ(第35条第5項)
- 許可の基準の追加(第6条第3号の2・政令で定める日に施行): 輸送の安全の基準などを守り、その他の法令の規定も守って事業を行うことが見込まれること
- 適正原価(第9条の2・第9条の3・政令で定める日に施行): 国土交通大臣が適正原価を告示した後は、自ら引き受ける運送の運賃・料金も、他の運送会社に頼む運送(自動車を使わずに運送させる契約によるものを除く)の運賃・料金も、適正原価を下回らないようにする
- 労働者の処遇(第24条の6・政令で定める日に施行): 運転者その他の労働者の能力の公正な評価に基づく適正な賃金の支払などの措置を実施する
「第三条の許可は、国土交通省令で定めるところにより五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。」改正後の貨物自動車運送事業法 第6条の2第1項
このほか、いまの国土交通大臣の「標準的な運賃」(本法の附則第1条の3)は、改正後の条文には無い。e-Gov 法令検索の現行の版(2026年5月21日施行の版)には附則第1条の3があり、未施行の版(2028年6月10日の欄)には無いことを、編集部が2026年11月7日に両方の条文で確かめた。改正法の第1条の規定は2026年4月1日に施行済みで、その後の現行の版にも第1条の3が残っているため、標準的な運賃を削るのは第2条の規定で、更新制・適正原価と同じ政令で定める日に無くなる〈推論〉。国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」も「(※)標準的運賃については廃止」と書いている。
自分の会社は当たる?(元請け・下請け・荷主・軽貨物の立場ごと)
トラック新法の規定は立場によって当たるものが違い、一般貨物自動車運送事業の許可を持つ運送会社には更新制と適正原価が、元請けとして引き受けた運送を他社に頼む運送会社には委託次数の制限の努力義務が、運送を頼む荷主には白トラへの委託の禁止が当たる。下の表の「条件」が2つあるものは、両方を満たすときに当たる。
| 立場 | 当たる主な規定と条件 |
|---|---|
| 元請けの 運送会社 | 委託次数の制限の |
| 一般貨物の 許可を持つ 運送会社 | 許可の更新・ |
| 下請けの 運送会社 | 引き受ける |
| 運送を頼む 荷主 | 白トラへの |
| 軽貨物 届出の 貨物軽自動車 運送事業者 | 第6条の2の |
出典: e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」(令和七年法律第六十号による改正後・未施行の版と改正履歴)の第6条の2・第9条の3・第23条の4・第24条の6・第25条・第36条・第65条の2と附則第1条の2の2をもとに編集部が整理(2026年11月7日に確認)
軽貨物の事業者は第36条第1項の届出で事業を始めるため、第3条の許可に付く更新制(第6条の2)は当たらない〈推論〉。改正後の第36条第2項が貨物軽自動車運送事業者に準用する条文の一覧に第6条の2は無く、第36条第1項の届出に更新の定めは置かれていない(e-Gov 法令検索の未施行の版の条文で編集部が2026年11月7日に確認)。一方で、改正後の第36条第2項は第9条の3(適正原価)・第23条の4(委託次数)・第24条の6(労働者の処遇)を貨物軽自動車運送事業者に準用する。第23条の4の準用は現行の版(2026年5月21日施行の版)にもあり、第9条の3と第24条の6の準用は未施行の版で加わるため、更新制と同じ政令で定める日から当たる〈推論〉。国土交通省の資料も、適正原価の義務は「軽貨物運送事業者、特定貨物運送事業者に対しても適用される」としている。
荷主側の白トラへの委託の禁止で、どこまでが「白トラ」に当たるかは、国土交通省のQ&Aが「R8改正トラック法により、トラック法に基づく許可又は届出の要否・基準が変更されるものではございません。」と答えている。建設会社が自社の工事の残土を白ナンバーのダンプで運ぶ場合などの線引きは、白ナンバーのダンプで残土を運んでよいかを扱った記事で詳しく整理している。
適正原価はいつから?(告示があった後に下回らない義務・額は未告示)
適正原価を下回らない運賃・料金にする義務(第9条の3)は、更新制と同じく公布から3年以内に政令で定める日に施行され、国土交通大臣が適正原価を告示した後に当たり、適正原価の額は、編集部が2026年11月7日に確認した範囲では告示されていない。第9条の3は、告示があった場合の義務として次のように定めている。
「一般貨物自動車運送事業者は、前条第二項の規定による適正原価の告示があった場合においては、自らが引き受ける貨物の運送に係る運賃及び料金が当該適正原価を下回ることとならないようにしなければならない。」改正後の貨物自動車運送事業法 第9条の3第1項
第9条の3の第2項は、自らが引き受けた運送を他の運送会社に頼むときも、その頼む運送の運賃・料金が適正原価を下回らないようにすることを求めている。国土交通省の資料は、第1項を「受注者の義務」、第2項を「発注者の義務」と呼んでいる。
適正原価の中身は第9条の2が定める。国土交通大臣は、燃料費、全産業の労働者一人当たりの賃金の額の平均額を踏まえた人件費、減価償却費、輸送の安全確保のために必要な経費、委託手数料、事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資、公租公課その他の事業の適正な運営の確保のために通常必要と認められる費用であって国土交通省令で定めるものを的確に反映した積算を行うことで原価を定めることができ、定めたときは告示する。改正後の第25条第1項第2号は、「適正原価を下回らない額での貨物の運送の受託及び委託」を、事業の適正な運営に関する基準の事項に加えている。
国土交通省は2026年7月に「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を立ち上げ(第1回は7月17日に開くと7月14日に発表)、10月15日には第4回を10月19日に開くと発表した。検討会の配布資料と議事概要は、第1回の資料2のほかは編集部では開いていない(第2回・第3回の報道発表の本文も開いていない)。改正法の附則第5条は、国土交通大臣が施行前でも適正原価の設定のために運輸審議会に諮ることができると定めている。国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」は、運賃・料金が適正原価を下回るかの判定について、「事業許可の有効期間である5年間を通じた総運行距離、総労働時間等を勘案し、出来る限り簡便かつ客観的に判断しうる判定基準を設定することを想定」と書いている。
許可の更新はいつ?(いまの許可は施行から2年〜7年の間で省令が定める日まで)
施行の際に一般・特定貨物自動車運送事業の許可を受けている者は、施行日に新しい法律の許可を受けたものとみなされ、最初の更新は施行日から2年を経過した日から7年を経過する日までの間で国土交通省令が定める日までに受け、施行日は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省のページ)では決まっておらず、期限を定める省令も確認できていない。改正法の附則第4条第2項は、最初の更新について、第6条の2第1項の「五年ごと」を次のように読み替えている。
「附則第四条第一項の規定により第三条の許可を受けたとみなされた日から起算して二年を経過した日から七年を経過する日までの間において国土交通省令で定める日まで」貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律 (令和7年法律第60号) 附則第4条第2項
条文の流れを順に並べると、次のようになる。
- 施行日: 施行の際に一般・特定貨物自動車運送事業の許可を受けている者は、施行日に改正後の法律の許可を受けたものとみなされる。許可に付いていた条件も、そのまま付いたものとみなされる(附則第4条第1項)
- 施行日から2年を経過した日から7年を経過する日までの間: 国土交通省令が定める日までに最初の更新を受ける(附則第4条第2項)
- 2回目以降: 5年ごとに更新を受ける(第6条の2第1項)
- 申請中に期限が来たとき: 有効期間の満了の日までに処分が出ないときは、処分が出るまでの間は従前の許可が効力を持ち、その後に更新されたときの有効期間は、従前の有効期間の満了の日の翌日から数える(同条第2項・第3項)
国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」の施行時期の図は、施行の後に「2年(経過措置)」を置き、その先に「更新の申請及び審査の開始(5年めどで一巡)」と書いている。自社の最初の更新の期限が、この2年から7年までの間のどこになるかは、国土交通省令が出るまで分からない〈推論〉。更新の事務の一部は、別に法律で定める独立行政法人に行わせることができ(第6条の2第4項)、令和7年法律第61号は、その費用の財源を「許可の更新に係る手数料による収入その他の収入を活用して」確保すると定めている。
許可の更新を受けられないのはどんな場合?(欠格事由・許可の基準・法令の遵守)
更新には許可の欠格事由(第5条)と許可の基準(第6条)が準用されるため、欠格事由に当たる場合や、新しく加わる「法令の規定を遵守してその事業を遂行することが見込まれること」などの基準に適合しない場合は、更新を受けられない〈推論〉。第6条の2第5項は「前三条の規定は、第一項の許可の更新について準用する。」と定め、前三条は第4条から第6条までで、第5条が欠格事由、第6条が許可の基準である。
「第十五条第一項の基準及び第二十五条第一項の基準を遵守してその事業を遂行することその他法令の規定を遵守してその事業を遂行することが見込まれること。」改正後の貨物自動車運送事業法 第6条第3号の2
第15条第1項の基準は、運転者の確保や勤務時間の設定など過労運転の防止と、点検・整備などの事業用自動車の安全性にかかわる事項である。第25条第1項の基準は、車庫の整備と管理、健康保険法等による保険料等の納付、適正原価を下回らない額での受託と委託、労働者の適切な処遇の確保などを含む。国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」は、更新制について「輸送の安全確保、社会保険料の納付、適正原価の収受をはじめ、法令の規定を遵守しない場合は、事業許可の更新がなされない。」と説明している。
第5条の欠格事由は8つの号に分かれ、更新の申請者が次のどれかに当たると、更新を受けられない〈推論〉。
| 号 | 欠格事由(要約) |
|---|---|
| 第1号 | 1年以上の |
| 第2号 | 一般・特定貨物の |
| 第3号 | 親会社など |
| 第4号・第5号 | 取消しの聴聞の |
| 第6号 | 第4号の期間に |
| 第7号・第8号 | 未成年者の |
出典: e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」(令和七年法律第六十号による改正後・未施行の版と改正履歴)の第5条・第6条・第6条の2・第15条・第25条と、国土交通省「トラック適正化二法のポイント」。表の欄は編集部の要約で、各号の条件の全文は条文にある
更新の審査で、どの違反が何件あれば基準に適合しないとされるかという具体的な基準は、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(国土交通省の二法のページ・二法のポイント・改正法Q&A)では示されていない。更新制とは別に、いまの法律にも、許可の取消しや事業の停止を命じる規定(第33条)がある。
事業をやめる・譲るときは?(廃止は30日前までに届出・譲渡は認可が必要)
一般貨物自動車運送事業をやめるときは30日前までに国土交通大臣への届出が必要で、事業を譲るときは国土交通大臣の認可を受けなければ譲渡の効力が生じない。第30条から第32条までの条文は、e-Gov 法令検索の現行の版(2026年5月21日施行の版)と改正後(未施行)の版で同じ文言であることを、編集部が2026年11月7日に確かめた。
「一般貨物自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その三十日前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」貨物自動車運送事業法 第32条
事業の譲渡し・譲受けと、法人の合併・分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じない(第30条第1項・第2項)。ただし、一般貨物の法人が、一般貨物の事業を経営しない法人と合併して存続する場合や、分割で一般貨物の事業を承継させない場合は、合併・分割の認可は要らない(同条第2項ただし書)。認可には第5条(欠格事由)と第6条(許可の基準)が準用され(同条第3項)、認可を受けて事業を譲り受けた者は、第3条の許可に基づく権利義務を承継する(同条第4項)。更新制の施行の後は、第6条に加わる第3号の2(法令の遵守の見込み)も、譲渡の認可の審査に当たる〈推論〉。事業者が亡くなった場合に相続人が事業を続けるときは、死亡後60日以内に認可を受ける(第31条)。
やめ方には注意が要る。第5条第4号は、許可の取消しの処分に係る聴聞の通知が届いた日から、処分をする日か処分をしないと決める日までの間に廃止を届け出た者(廃止について相当の理由がある者を除く)を、届出の日から5年を経過するまで許可を受けられない者としている。届出制の軽貨物の事業者は、事業を廃止したときや事業の全部を譲渡したときなどに、遅滞なく国土交通大臣に届け出る(第36条第3項)。
最新の動き(白トラの車両の使用制限は2026年10月1日から初違反120日に)
国土交通省は令和8年9月29日付の通達で、許可や届出なく自家用自動車で貨物自動車運送事業を経営した者などに対する車両の使用制限・禁止の日数を、初違反は60日から120日に、再違反は120日から180日に引き上げ、2026年10月1日以降の違反行為から当てている。通達の附則は「改正後の通達は、令和8年10月1日以降の違反行為から適用する。」と定め、9月30日までの違反行為は改正前の基準で処分するとしている。
| 違反の回数 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 初違反 | 60日 | 120日 |
| 再違反 | 120日 | 180日 |
| 再々違反 | 180日 | 180日 |
出典: 国土交通省 通達「『自家用自動車を使用する者による道路運送法又は貨物自動車運送事業法違反行為に対する行政処分基準について』の一部改正について」(令和8年9月29日・全日本トラック協会のページに掲載)の新旧対照表の1(1)。道路運送法第4条第1項・第43条第1項、貨物自動車運送事業法第3条・第35条第1項・第36条第1項の違反の日数。改正前の初違反の欄の呼び方は「初犯」
再違反は、行政処分を受けた日から3年以内に同じ条項に違反したものをいう。特に事情がある場合は、処分の日数を最大で2分の1にできる。使用を禁止した場合は、自動車検査証の返納と自動車登録番号標(軽自動車は車両番号標)の領置も行う。この通達は、白トラで運送をした自家用自動車の使用者への処分の基準で、2026年4月に始まった荷主側の委託の禁止とは別の規定である。東京都トラック協会は11月6日に、全日本トラック協会は10月5日に、この改正をそれぞれのページに掲載した。
適正原価については、国土交通省が全トラック事業者を対象に実態調査を行い、回答をもとに制度設計の検討を進めるとしている。調査のページは、この調査が貨物自動車運送事業法第60条第1項と貨物自動車運送事業報告規則第3条に基づく報告の求めで、回答の義務があると書いている。編集部は、施行日を定める政令や適正原価の告示が出た時点で、この記事を更新する。
まとめ
- 通称「トラック新法」は、2025年6月4日に成立し6月11日に公布された令和7年法律第60号(貨物自動車運送事業法の一部改正)と第61号(適正化のための体制の整備等の推進に関する法律)で、国土交通省は「トラック適正化二法」と呼んでいる。
- 白トラへの運送の委託の禁止(100万円以下の罰金)と、真荷主から引き受けた運送の再委託を2次までに抑える努力義務は、2026年4月1日に施行された。
- 一般・特定貨物自動車運送事業の許可の5年ごとの更新制と、適正原価を下回る運賃・料金の制限は、公布から3年を超えない範囲内(2028年6月まで)で政令で定める日に施行され、その日は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ)では決まっていない。
- 施行の際に許可を受けている者の最初の更新は、施行日から2年を経過した日から7年を経過する日までの間で国土交通省令が定める日までで、更新には欠格事由と許可の基準が準用される。
- 一般貨物自動車運送事業をやめるときは30日前までの届出、事業を譲るときは国土交通大臣の認可が要る。
- 白トラの行政処分基準は2026年9月29日付の通達で改められ、2026年10月1日以降の違反行為から、車両の使用制限・禁止の日数が初違反120日・再違反180日になった。
よくある質問
「トラック新法」とはどの法律のこと?
この記事では、2025年6月11日に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第60号)と「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和7年法律第61号)を指す通称として扱っています。国土交通省は、この2つを「トラック適正化二法」と呼んでいます。更新制・適正原価・白トラへの委託の禁止など、運送会社の実務が変わる規定は第60号の改正法に入っています。
トラック新法で2028年に何が始まる?
許可の5年ごとの更新制、許可の基準への法令の遵守の見込みの追加、適正原価を下回る運賃・料金の制限、労働者の適切な処遇の確保の措置は、公布の日(2025年6月11日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されます。3年の上限が2028年6月で、国土交通省の資料は「令和10年 6月まで トラック適正化2法 全面施行予定」と書いています。施行日を定める政令は、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(e-Gov 法令検索の改正履歴・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ)では出ていません。
適正原価はいつから、いくらになる?
適正原価を下回らないようにする義務(改正後の第9条の3)は、更新制と同じ政令で定める日に施行され、国土交通大臣が適正原価を告示した後に当たります。額は、国土交通省が2026年7月から有識者検討会で議論しており、編集部が2026年11月7日に確認した範囲(国土交通省「トラック適正化二法について」のページ・「トラック適正化二法のポイント」・第1回と第4回の検討会の報道発表・第1回の資料2)では示されていません。検討会の配布資料と議事概要は、第1回の資料2のほかは編集部では開いていません(第2回・第3回の報道発表の本文も開いていません)。国土交通省の「トラック適正化二法のポイント」は、運賃・料金が適正原価を下回るかの判定について、「事業許可の有効期間である5年間を通じた総運行距離、総労働時間等を勘案し、出来る限り簡便かつ客観的に判断しうる判定基準を設定することを想定」と書いています。
許可の更新に手数料はかかる?
令和7年法律第61号は、更新の事務を独立行政法人に行わせる費用の財源を「許可の更新に係る手数料による収入その他の収入を活用して」確保すると定めています。国土交通省の資料も、更新申請時には「一定の手数料収受を想定」と書いていますが、額は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(令和7年法律第61号の条文・国土交通省「トラック適正化二法について」のページ・「トラック適正化二法のポイント」・改正法Q&A)では示されていません。更新の事務を行う独立行政法人も、国土交通省の資料では「今後3年以内を目途に決定」とされています。
下請けに出すのは2次までに決まった?
2026年4月1日から、一般貨物自動車運送事業者は、真荷主から引き受けた運送を他の運送会社に頼むとき、2以上の段階にわたる委託を制限する措置を講ずるよう努めることになりました(第23条の4)。これは努力義務で、国土交通省のQ&A(令和8年3月31日時点)は、健全化措置の努力義務に罰則や行政処分は設けていないと答えています。ただし、運賃・料金を不当に据え置くなど違反原因行為の疑いがある事業者は、トラック・物流Gメンの是正指導の対象になるとしています。
白ナンバーのトラックに頼むと罰せられる?
2026年4月1日から、許可を受けずに一般貨物自動車運送事業を経営する者などに、貨物の運送(自動車を使わずに運送させる契約によるものを除く)を委託すると、委託した側も100万円以下の罰金の対象になります(第65条の2・第75条第14号)。一方で、国土交通省のQ&Aは、運送が自己の生業と密接不可分でその業務に付帯して行われ、運送の対価としての有償性が認められない場合には許可・届出は要らないとし、個々の事案ごとに判断するとしています。白ナンバーのダンプで残土を運ぶ場合の線引きは、本文の「自分の会社は当たる?」の節からリンクした記事で詳しく扱っています。
更新を受けずに期限が過ぎたらどうなる?
改正後の第6条の2は、許可は5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うと定めています。ただし、期限までに更新を申請し、期限の日までに処分が出ない場合は、処分が出るまでの間は従前の許可が効力を持ちます。更新の手続きは国土交通省令で定めるとされ(第6条の2第1項)、その省令は編集部が2026年11月7日に確認した範囲(国土交通省「トラック適正化二法について」のページ・e-Gov 法令検索の改正後の条文)では確認できていません。
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出典と参考資料
- 参議院「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」(第217回国会 衆法第33号・議案審議情報) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/meisai/m217090217033.htm
- 参議院「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律案」(第217回国会 衆法第34号・議案審議情報) https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/meisai/m217090217034.htm
- e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業法」(令和七年法律第六十号による改正後・未施行の版と改正履歴) https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083
- e-Gov 法令検索「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和七年法律第六十一号) https://laws.e-gov.go.jp/law/507AC1000000061
- 国土交通省「トラック適正化二法について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000019.html
- 国土交通省「トラック適正化二法のポイント」(PDF) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001992449.pdf
- 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法Q&A(令和8年3月31日時点)」(PDF) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001993961.pdf
- 国土交通省「トラック運送事業の適正原価に関する実態調査への協力依頼について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000129.html
- 国土交通省「第1回『適正原価の設定に向けた有識者検討会』を開催します」(報道発表・令和8年7月14日) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000357.html
- 国土交通省「第4回『適正原価の設定に向けた有識者検討会』を開催します」(報道発表・令和8年10月15日) https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000369.html
- 国土交通省「トラック運送業をとりまく現状及び最近の取り組み」(第1回 適正原価の設定に向けた有識者検討会 資料2・令和8年7月・PDF) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002013675.pdf
- 国土交通省 通達「『自家用自動車を使用する者による道路運送法又は貨物自動車運送事業法違反行為に対する行政処分基準について』の一部改正について」(令和8年9月29日・全日本トラック協会のページに掲載・PDF) https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2026/10/mlit20260929.pdf
- 全日本トラック協会「『自家用自動車を使用する者による道路運送法または貨物自動車運送事業法違反行為に対する行政処分基準について』の一部改正について」(令和8年10月5日) https://jta.or.jp/news/20261005law.html
- 東京都トラック協会「白トラ行為に対する行政処分基準の一部改正について(国交省)」(2026年11月6日) https://www.totokyo.or.jp/archives/52796
アイキャッチの画像: AIで生成したイメージです(実在の車両・現場の写真ではありません)


